「棚田を守る酒」完成
特集は景観を守る取り組みです。「日本の棚田百選」の一つ、長野県上田市の「稲倉の棚田」。資金難やコロナの影響で保全活動は厳しい状況です。そこに手を差し伸べているのが地元の酒蔵。今年も「棚田を守る酒」ができました。
岡崎酒造（長野県上田市）
2月の上田市。「岡崎酒造」で酒の仕込みが行われていました。蒸した酒米を麹室へ。タンクに仕込む前の麹づくりです。
岡崎酒造・杜氏 美都里さん
岡崎酒造 杜氏・美都里さん：
「麹が一番大事な酒造りの要だといわれているので、緊張しつつ、いい麹がつくれるように、酒になるように日々、汗を流しております」
岡崎酒造・岡崎謙一社長
室温は30度。湿度も高く、文字通り、汗を流しての作業です。仕込んでいるのは、社長の岡崎謙一さんと杜氏の美都里さん。二人は夫婦です。
アナウンサー：
「進めるスピードも息ぴったりですね」
岡崎酒造 杜氏・美都里さん：
「そうですね…。そこは目を見つめ合って『うん』って言うところでしょうが（笑）」
この日、二人が仕込んだのは特別な酒です。
稲倉の棚田（長野県上田市）（提供：稲倉の棚田保全委員会）
日本の棚田百選に選ばれている「稲倉の棚田」。岡崎酒造はここで栽培される酒米「ひとごこち」で酒を造っています。それは棚田の保全につながっていて、いわば「棚田を守る酒」です。
岡崎酒造・岡崎謙一社長
岡崎酒造・岡崎謙一社長：
「棚田はとてもいい景観の場所なので、そこでできた酒米、その酒米で造ったお酒なので、お酒を知ってもらって棚田を知ってもらう循環にしたいなと」
棚田保全のための体験事業
景観を守ろうと地元の住民は協議会を設置し、保全活動をしてきました。棚田は、1枚1枚の面積が狭く、通常の10倍もの手がかかります。長年、「人手不足」と「資金不足」という課題を抱えてきました。
協議会 会長・久保田良和さん
協議会 会長・久保田良和さん：
「この地域だけでは、なかなかこれだけの面積を賄うことができない。高齢化、あるいは農業問題、今の日本の農業の縮図がありますから」
資金難を解決するため、協議会は子どもたちの体験事業を積極的に取り入れ、2006年からはオーナー制度も導入しました。オーナーは年会費を払って田植えと稲刈りを体験し、収穫した米を受け取ります。[/MARKOVE]
