砂防えん堤を新設する予定地付近。工事に先立ち、地質調査が行われた
9月に長野県茅野市高部の下馬沢川で発生した土石流災害で、県諏訪建設事務所は23日、新設するえん堤を含めた現時点の災害復旧事業の計画を明らかにした。集落に近い本流の沢筋に新たに整備する新設えん堤は高さ7.5メートル、幅102メートルで、既設の3基と比べ1~2.5メートルほど高く、幅は3~4倍となる。新設えん堤をさらに大規模化する計画を並行して進めており、「今回と同規模程度の土石流であれば土砂をとらえられる」(同事務所整備課)とする。
新設えん堤は既存の3基よりも集落側で「谷の出口」付近。火葬場の「静香苑」に向かって大きく曲がる市道近くの本流に設置する。今年度中に工事発注し、来年度中の完成を目指す。事業費は約2億8000万円。大規模化工事は国との調整が必要になるため詳細は未定だが、2023年度以降の完成となる見込み。
このほか、新設えん堤下から下流の集落を経て宮川に至る約1.3キロで流路の改良復旧工事を行い、23年度中の完了を目指す。事業費は約5億1000万円で、このうち既に約8900万円掛けて流路にたまった土砂を撤去した。既設3基のうちの最上流部と上から2番目のえん堤間の流路約130メートルは、約5000万円掛けて護岸の復旧工事を行う。来年度中に完成する予定。
県諏訪地域振興局林務課では土砂流出があった支流部に治山ダムを新設する。整備場所は合流部の近く。今後設計に入るが、現段階では高さ11メートル(放水路までの高さ9メートル)、幅51メートルの計画となっている。年度内の工事発注と来年度中の完成を目指している。
いずれも工事発注に先立ち、来年2月ごろをめどに住民説明会を開く予定。
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