和田樹生さんの母・真理さんと父・善光さん
2015年、長野県佐久市で当時中学3年生の男子生徒が車にはねられ死亡した事故で、異例となる3度目の裁判が始まりました。被告の男はわき見運転などの罪で執行猶予付きの判決が確定しましたが、両親が再捜査を求め、検察が新たに「ひき逃げ」の罪で起訴したのです。母親は「7年間、加害者の犯した罪に見合う刑を与えることができなかった。非常につらい時間だった」と話しています。
亡くなった和田樹生さん(当時中学3年生)
事故が起きたのは2015年3月。佐久市の横断歩道で当時中学3年生の和田樹生さんが車にはねられて亡くなりました。御代田町の会社員・池田忠正被告(49)は、必要な救護などをせずに現場を立ち去ったとして、道路交通法の「ひき逃げ」などの罪に問われています。
事件を巡る経過
1回目の裁判では、自動車運転処罰法違反の罪で禁錮3年、執行猶予5年の判決を受けました。その後、両親が独自に調査し、速度超過と不正改造の罪で2度目の裁判が開かれましたが、それぞれ棄却、無罪の判決が言い渡されました。また、一番強く求めていた「ひき逃げ」については、検察は2018年に不起訴処分としました。納得がいかない両親はその後も目撃情報などを集めて再捜査と起訴を検察に求め、2022年1月、検察は「ひき逃げ」の罪で起訴に踏み切りました。時効直前の異例の起訴です。
両親の執念が実ったともいえる今回の裁判。裁判への思いを取材しました。
母・真理さん
樹生さんの父親・和田善光さん(50)、母親の真理さん(51)。樹生さんが生きていれば、大学を卒業し社会に出ていく年でした。
母・真理さん:
「樹生は海外で働くことが夢だったので、自分の思い描いていた夢を見つけて社会に出て働いていたのではないかなと」
今回のひき逃げでの起訴は、両親が強く訴えてきたものでした。
母・真理さん:
「私たちにとっての事件から7年というのは、加害者の犯した罪に見合う刑を与えることができなかった。刑を求め続けてきた7年間だったのでその分、非常につらい時間でした。これが起訴されなかったらすべてが嫌になってしまいそうな自分がいたので、寿命が少し伸びたような、命が少し先につながったなというような思いだった」[/MARKOVE]