原田さんがデザインした電車の絵を見せる小学生=諏訪市の原田泰治美術館
長野県諏訪市の原田泰治美術館は8日、2日に81歳で亡くなった原田泰治さんをしのぶ献花台を館内に設置した。初日は原田さんのファンや交流のあった地域住民ら約50人が県内外から訪れ、花を手向けて静かに手を合わせた。献花台は4月末まで設置し、弔問者は館内を自由に観覧できる。
献花台は、企画展「原田泰治の原点をさがして 油絵の世界」が開かれている同館1階第一展示室に設けられた。アトリエで筆を持ち、笑顔を見せる原田さんの写真が来館者を迎え、県内のほか、高知や愛媛、東京など県外から大勢のファンが弔問に訪れた。
午後1時の受け付け開始時刻に訪れた諏訪市高島の平林由衣さん(78)は、美術館友の会の会員で定期的に送られてくる絵葉書を玄関に飾っていたという。「先生の作品は私が幼いころに育った風景そのまま。かわいらしく素朴で何とも言えない。素晴らしい才能を持った立派な人が亡くなって残念」と悔やんだ。
両親と訪れた上田市の小学1年生(7)は、原田さんがデザインした別所線のラッピング電車「自然と友だち1号、2号」が大好き。車体を彩る18種類の昆虫や動植物を書き写し、「まん延防止があけたら先生に見てもらおう」と思っていたという。持参したスケッチブックを献花台の前で広げ、原田さんに見せていた。
諏訪市諏訪で手芸品販売店を営む中川厚子さん(64)=諏訪市中洲=は25年前、原田さんに声を掛けられた「あなたはその個性を伸ばした方がいいよ」という言葉を大切にしている。「弱い者、小さい者に目を向け、心情を分かってくれる先生でした」と語った。
8日は、原田さんの葬儀が近親者が出席して諏訪市内の斎場で行われた。後日、原田さんとの「お別れの会」が開かれる予定。同館では企画展「原田泰治が描く ふるさと信州の四季」が始まった。
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