来春の御柱祭に向けてガイドラインを発表した上社御柱祭安全対策実行委員会役員(右)と御柱祭下社三地区連絡会議役員
コロナ禍で迎える来春の長野県諏訪大社式年造営御柱大祭(御柱祭)の実施に向け、諏訪大社上社大総代会でつくる上社御柱祭安全対策実行委員会と岡谷市、下諏訪町、諏訪市上諏訪の大総代で構成する御柱祭下社三地区連絡会議は16日、ガイドライン(指針)をそれぞれ発表した。上社、下社の共通と個別の指針を策定。県感染警戒レベルの段階ごとの対応をまとめ、レベル4以上の場合は曳行は実質的に中止。重機などで「運搬」し、木落しや上社の川越しは行わない。
レベル4以上の場合の運搬は一部の係のみで行う。木やりは上社では実施せず、下社では神事の木やりのみとする。建て御柱は上社では乗り手2人と建て方作業員のみで行い、氏子を含め、無観客状態とする。下社は建て方作業員のみが奉仕し、神事の木やりのみ行う。
レベル3以下の場合は、関わる氏子の人数を制限して曳行、建て御柱を実施する。レベル2以下では感染症対策を徹底した上での曳行となる。レベル3の場合はレベル2以下に比べ、参加人数をさらに絞る。
上社で曳行を盛り上げる子ども木やり隊はレベル3以下でも参加を禁止とした。11歳以下のワクチン接種が承認されていない現状を踏まえ「大変残念だが、子どもへの感染には十分に警戒する必要がある」(上社同実行委)と判断した。一方で「あくまで『隊』としての参加禁止であり、保護者の判断で木やりをする子どもが参加することはあり得る」とも述べた。
共通指針では、御柱祭の参加者をワクチン接種済みまたは72時間以内の「陰性」が確認された人とし、過去2週間の体調や行動歴などを記入したシートを提出する。シートを基に参加者名簿を作成し、名簿登録者以外の人との接触を避ける規制線を設ける。観光客や県外在住者には参加の自粛を求める。観覧席の観覧客については別途指針を定める。
このほか、感染症対策チームの設置を盛り込んだ。上社は諏訪中央病院(茅野市)、下社は諏訪赤十字病院(諏訪市)の医師らの助言を基に対応していく。御柱祭の実施内容については年内に判断した上で、御柱関連行事の1週間から10日前の感染状況を踏まえて最終決定する。
上社同実行委の大久保賢一副委員長(70)=茅野市宮川=は「もし御柱祭によってコロナ感染が広がったとなれば、今回の次の御柱祭に影響が出てしまいかねない。皆さんに理解、協力してもらい、感染者もけが人も出ない御柱祭にしたい」と話した。
下社同会議の小林正夫会長(71)=諏訪市大和=は「コロナ禍でなかなか準備が進まない状況下でここまで来た。多くの皆さんが参加できるこれまで通りの盛大な御柱祭ができることを願いながら、準備だけは確実に進めたい」と語った。
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