調査結果を説明する国土技術政策総合研究所土砂災害研究部砂防研究室の山越隆雄室長(右)=岡谷市役所
岡谷市川岸東で土石流が発生し死傷者が出た15日の土砂災害を受けて、国土交通省は17日、専門家を現地に派遣した。被災現場を調査した専門家は13~15日の3日間に「かなりの雨が降り続いていた。2006年7月の豪雨災害と同じような雨が降った」との見解を示し、土砂が不安定な状態で「大雨が降れば同じ現象が起きる可能性がある」と指摘。土砂流出を抑え、土石流等を食い止める対策の必要性を市、県に伝えた。
国土技術政策総合研究所土砂災害研究部砂防研究室の山越隆雄室長ら専門家3人が県や市の職員らと現場に入り、中大久保と大久保の二つの渓流で起きた土石流の発生源を視察。市役所で今井竜五岡谷市長、木村智行・県諏訪建設事務所長らに調査結果を報告した。
山越室長は市、県への報告後の取材で報道陣に報告内容を明かした。「3日間にわたって飛びぬけて強い雨が降ったわけではない」とする一方で、13日午前1時から災害発生時刻に近い15日午前6時までの累積雨量が377ミリに上り「かなりの雨が降り続いていた」という。
中大久保では土砂がおよそ幅10メートル、長さ20メートル、深さ4メートルにわたって崩れ、流木を巻き込んで中央道下の隧道を抜けて住宅に流入した。土砂量は推定400~800立方メートル。「昔の火山の噴出物が堆積している塩嶺累層の部分で崩壊が起きている」といい、雨で山が大量の水を含み、地下水が集まり、崩壊したとみている。南側の大久保で発生した土石流も中大久保より規模は小さいが同じメカニズムによるものと考えている。
また現場付近の土砂は不安定な状態にあり、今後の土砂災害が起こる危険性があるために「土砂流出を抑える応急対策や同じ現象が起きた時に食い止めるための構造物の対策が必要」「警戒情報が出るよりも早く避難の呼び掛けをすべきではないか」と市、県に助言したことも明かした。
今井市長は17日夜の会見で「指摘を受けた部分を尊重して守りたい」と話した。
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