家族写真（2022年春）
「看取り（みとり）」の現場です。コロナ禍で病院での面会が制限される中、「自宅で最期を」という希望が増えています。2022年9月に亡くなった女性とその家族、看取りを支えた訪問診療の医師を取材しました。
【動画で見る】余命わずかの母…自宅で共に過ごした時間「ありがとう」「こっちもありがとね」 家族に遺したレシピ
■手書きのレシピノート
三嶋浩徳さん宅（長野県塩尻市・12月11日）
2022年12月11日、長野県塩尻市―。
日曜の夕方。三嶋浩徳さん（60）の家で夕食の支度をしているのは優華さん（21）と健渡さん（15）のきょうだいです。
長女・優華さん：
「きょうは『なめたけのサラダ』と、『手まりシュウマイ』と『三食丼』を作ります。全部ここ（レシピ）にあるのを作ろうかなと思って」
母・伊鈴さんが遺したレシピノート
手書きのレシピノート。
2022年9月に亡くなった母・伊鈴さんが遺（のこ）してくれたものです。
調理師で、家でも家族のために料理を作るのを楽しみにしていた伊鈴さん。
闘病の末、57歳で亡くなりました。
3人での夕食
夫・浩徳さん：
「はいじゃあ食べましょう、いただきます」
慣れない3人での夕食。でも、そこには慣れ親しんだ伊鈴さんの味がありました。
レシピノートをもとに優華さんと健渡さんが作った夕食
夫・浩徳さん：
「味付けも、いいんじゃないですか？」
長女・優華さん：
「ありがとうございます、監督（笑）」
■自宅で家族と一緒に
伊鈴さんと、付き添う夫・浩徳さん（三嶋さん宅・2022年9月）
9月―。
伊鈴さんはリビングに置かれた介護ベッドの上で療養していました。
夫の浩徳さんは会社を休んで付き添い、歯科衛生士を目指す専門学校3年生の優華さん、中学3年生の健渡さんも手伝います。
長男・健渡さん
長男・健渡さん：
「ナシ食べる？」
長女・優華さん：
「食べさせてあげなきゃね」
話・伊鈴さん
伊鈴さん：
「（優華さんは）勉強も忙しいのに早く帰ってくれたり、助けてくれたりするのでとても頼りになります。（健渡さんは）中学の男の子で、夜ご飯作らなきゃいけないだなんて、かわいそうだなと思うんだけど」
ベッドの上でも家族を気遣う伊鈴さん。
でも、これが三嶋家が選んだ過ごし方でした。
伊鈴さん
伊鈴さん：
「病院だと閉じ込められちゃうからね。だから家族の顔見たり、笑い声聞いたりしてるのは、とても元気が出るかなって」
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