縁起物の巾着袋が付いたヒノキの柱を力を合わせて立ち上げる住民=伊那市西箕輪上戸
長野県伊那市西箕輪の上戸(あがっと)で14日早朝、小正月の伝統行事「でえもんじ」があった。参加した住民約70人が色鮮やかな縁起物の巾着袋や竹の飾りを付けた高さ約15メートルのヒノキの柱を、地区中心部にある道祖神脇に立てて、今年1年の区内安全を願った。
「西箕輪誌」によると、でえもんじは厄よけを願う行事「道祖神祭」の一つ。起源は定かでないものの、行事は鎌倉時代末期に松本地方から始まり、上戸が南限とされている。各家庭では祭りの前に赤や青、黄、緑などの色紙で中にもみ殻を詰めた巾着袋を作り、柱の上部にくくり付けるのが習わしとなっている。
この日は午前5時前、太鼓の音を合図に住民が会場へ集まり、巾着袋や竹串に細かく切った色紙を巻いた「花」、お神酒の入ったたるなどを横たえた柱にくくり付けて準備。全てが整うと男性たちが「せーの」と力を合わせて柱を垂直に立ち上げた。
柱は20日午前5時30分に再び横たえ、巾着袋や花飾りを住民と公共施設に配り、今年の魔よけにするという。
例年朝は氷点下の厳しい冷え込みになるが、今年は6度と暖かな朝を迎えた。住民でつくる実行部の鈴木好実実行部長(67)は「過去にない穏やかな朝で、ありがたかった」としながら「コロナ禍になって4年目。今年こそ疫病が退散し、平穏な年になってほしい」と願った。
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