約2年4カ月ぶりに再開した移住希望者向けの物件見学ツアー=昨年6月、茅野市豊平のグリーンヒルズヴィレッジ
長野県茅野市への移住相談件数が今年度4月~12月までの9カ月間で早くも過去最高の250件に達した。全国的な移住需要の高まりをとらえ、市はコロナ下で中止していた物件見学ツアーや一定期間、家具付き住宅を貸して移住生活を体験してもらう「移住体験住宅」の事業を今年度から相次ぎ再開。関連事業は感染拡大前並みに戻した。20~50代の現役世代が伸びている。
移住促進対策は、第二次市地域創生総合戦略に掲げる「若者に選ばれるまちの実現」に向けた基本目標に位置付けている。相談件数は新型コロナウイルス感染症の影響がまだ限定的だった2019年度に45件だったが、行動制限が求められる中でテレワークの普及とともに移住熱が高まった20年度は126件、21年度は217件と伸び、今年度は9カ月間で昨年度1年間を上回った。
今年度の相談件数を年代別でみると、50代が51件と最も多く、次いで30代が42件、40代が31件となっており、定年退職後のシニア層よりも子育て世代や子育てが落ち着いた世代からの引き合いが多い。市移住・交流推進室によると、30代や20代の相談件数が伸びており、20年度と比べると、いずれも約3倍に増えた点に着目。「子育て世代で子どもの小学校入学の時期に合わせて移住を検討している」とした。50代は同比約5倍の増加で「退職後のセカンドライフを見据えている」と分析した。
相談者の居住地は関東が約半数を占める130件、次いで近畿、中部などとなっており、県内は20件だが前年比で2倍となった。
今井敦市長は「行政、商工会議所、民間の不動産事業者などとの連携で、他に先駆けて取り組んできた移住政策の成果が出てきた。早くから取り組み、蓄積してきたノウハウがある点はほかの自治体に対する優位性ではないか」と語った。
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