長野放送
御嶽山の噴火から8年。いざという時の犠牲を抑えるための対策はどこまで進んでいるでしょうか。
シェルターに逃げ込む登山者。9月、山頂の剣ヶ峰で登山者も参加し、噴火を想定した避難訓練が初めて行われました。
登山者:
「(シェルターがあると)安心感は違いますね」
「50何人て亡くなられてるんですけど、同じ目に遭わないよう逃げるのが一番大事」
この日は視界が悪く、こんな感想も…
登山者:
「初めて来たので(シェルターが)どこにあるか分からない」
木曽町三岳支所・野田智彦さん:
「霧が濃い中とか、風の音で音声が聞こえにくい中で、噴火の情報を即座に登山者に伝えることは、今後の新たな取り組みも含めて検討しなければいけない」
町は悪天候も想定し、エリアメールの活用なども検討するとしています。
今回の訓練では電波を発信する小型のビーコンも配られました。登山者の位置や行動を分析するためですが、今後は、救助での活用も期待されます。
防災科学技術研究所・宮城洋介主任研究員:
「御嶽山噴火災害の時に登山者の動向を把握するのに非常に時間がかかった。それで災害対応が困難になった。(ビーコンで)レシーバーとレシーバーの間くらいにいるだろうと絞れるので、そのあたりを集中して捜索することができる」
噴火などに備え、剣ヶ峰にはシェルターが4つ設置されました。町は鉄製のものをさらに2つつくる予定です。
王滝頂上でも防弾チョッキに使うアラミド繊維を使った避難施設が、今年から使えるようになりました。
残るは剣ヶ峰と王滝頂上の間の「八丁ダルミ」。王滝村がシェルター2つを設置して来年の規制解除を目指します。
先日の「八丁ダルミ」での行方不明者の捜索では帽子などが見つかっていて、関係者は自由に入れる日を待っています。
息子とその婚約者を亡くした・所清和さん:
「やっと9年目で(八丁ダルミに)行ける。私と妻と(婚約者の)丹羽さんのお母さんと3人で亡くなった場所に行きたい」
一方、麓には今年、2つの「ビジターセンター」がオープン。犠牲者の遺品を展示するなど、噴火の教訓と火山の知識を広める施設としての役割が期待されています。
ハードの整備と併せ、得られた教訓をどう生かし、伝えていくか。安全対策は新たな段階に進もうとしています。
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