通年で開館する下諏訪宿の本陣。当主の間には刀剣や甲冑、皇女和宮が使用した漆器などが並ぶ
江戸時代に参勤交代の諸大名や日光例幣使、十四代将軍徳川家茂に降嫁する際に皇女和宮が宿泊した「下諏訪本陣岩波家住宅」は、28日から通年の一般公開を始めた。これまでは予約者のみに公開していたが、今年3月の「長野県宝」指定を受け、通年開館を決めた。28代目当主の岩波尚宏さん(51)は「220年守り続けてきた本陣を今後100年、200年と受け継ぎたい。多くの人に知ってもらい、長野県諏訪地方の観光振興につながれば」と話している。
下諏訪宿は中山道と甲州街道の分岐点に位置し、京都や江戸への交通の要所として栄えてきた。本陣は参勤交代の大名宿泊宿として利用され、明治天皇も休憩された。庭園は”中山道随一の名庭園”と言われ、春はツツジ、初夏のアヤメ、秋の紅葉、冬の雪景色と四季折々の風情を醸し出している。
予約公開では明治天皇が休憩された「玉座の間」と庭園のみの観覧だったが、一般公開では刀剣と甲冑、和宮が使用した漆器などが並ぶ「当主の間」や江戸時代に使用した茶器や食器、長持ちなどが並ぶ「奥方の間」、古文書を収めた蔵、当時の燃料庫の炭蔵などを見学できる。1年後をめどに厨房などを改修し、茶や甘味の提供も予定している。
下諏訪町や町観光協会も協力体制を敷いており、周辺の観光施設を巻き込んだ周遊観光も視野に入れている。岩波さんは「当家に伝わる文化遺産や古文書、歴史的背景も活用していきたい。通過型観光から滞留型観光の目玉になれば」と期待している。
開館時間は午前10時~午後4時。4時以降のイベントも計画している。入館料は一般800円、中学生以下400円。水曜休館だが大型連休中は無休。ホームページも刷新した。問い合わせは本陣岩波家(電話0266・28・7055)へ。
[/MARKOVE]