「孝行猿」の資料館で子猿が母猿を温める場面をどう演じるか考える児童ら
長野県伊那市長谷小学校3年生9人は11日、地元に伝わる民話「孝行猿」の学習会を行った。9月15日の孝行猿集会に披露する演劇に向けた学習で、秋葉街道観光ガイドの高坂英雄さん(76)=長谷市野瀬柏木=の案内で市野瀬にある孝行猿の遺跡や資料館を見学。民話を通じて、互いに思いやる大切さや日々の暮らしへの感謝などを学んだ。
「孝行猿」は、実話を基にした物語。妻に先立たれ、幼い息子と暮らす猟師の勘助は、山で母猿を仕留めて家に持ち帰った。夜中に3匹の子猿が母猿を生き返らせようと懸命に傷口を温める姿に息子を重ね、深く後悔して母猿を山に手厚く葬った。同校では毎年秋に孝行猿集会を開き、3年生が劇を上演している。
児童は南アルプス仙丈ケ岳の市野瀬コース途中にある孝行猿の遺跡を見学。「勘助は母猿を背負い、この山道を登ってきた」との高坂さんの言葉に、児童は一歩一歩踏みしめて歩いた。遺跡の近くに松の下に葬られた母猿の墓もあり、高坂さんは「日当たりが良く暖かい場所。ここに母猿を葬れば子猿も近くにいて寂しくないと勘助は考えた」と勘助の温かな思いを語った。
資料館で高坂さんは孝行猿の彫刻を示して「切実な気持ちを言葉に表すと見ている人にインパクトを与える」と演劇について助言した。民話に触れ、「私たちは動物や魚の命を奪って生きている。世界には戦争や飢餓で食べられない人がいる。周りに支えられながら生活が送れるのは幸せなこと。感謝の気持ちを忘れないで」と呼び掛けた。
児童は「高坂さんが教えてくれたことを生かして劇をやりたい」と話した。
[/MARKOVE]