収穫したてのセロリを素早く包装して箱に詰める矢嶋さん
長野県のJA信州諏訪管内のセロリ栽培農家で9日、今期の出荷が始まった。諏訪地方のセロリは夏秋期の国内需要の9割近くを支える同農協の主要産品で、今年、生産が本格化して100年の節目を迎えた。初日は茅野市玉川上北久保の矢嶋敦郎さん(70)の加温ハウスで夜明け前から収穫作業が始まり、約1・2トンを収穫。近くの同農協南部センター隣接集荷場で初出荷を祝う恒例のセレモニーも行われた。
矢嶋さんは11月まで加温ハウス、露地で計6アールを作付けする。今年1月に最初の苗を植え、厳寒期から慎重な温度管理で育て上げた。セロリは低温になると花芽がつく性質で、とう立ちを防ぐ温度の管理と株を太らせるための風通しは毎日、数時間刻みで調整が必要といい、今年は「1、2月の寒さがことさら厳しく、燃料高騰の中で管理にひときわ苦労した」。
収穫した株はみずみずしく、柔らかで「いい筋のものができた」と矢嶋さん。鮮度が命―と家族、手伝いの人が手分けをして刈り取り、素早く包装して2L~Mのサイズごと箱に詰めた。
セレモニーでセルリー専門部会の篠原佐斗次部会長は「2月の残雪、低温で栽培に苦労したろうが、予定通りの出荷は努力のたまもの」とねぎらい、小松八郎代表理事組合長は「素晴らしい仕上がり。御柱祭年にちなんで”よいしょ、よいしょ”の気持ちで高値販売に力を注ぐ」と述べた。
初物は都内の市場に出荷。他の栽培農家でも今週末から徐々に収穫が始まり、11月中旬までに730万6千トンの出荷を目指すという。
同部会では100周年を祝って記念誌の発行や式典の開催を予定している。
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