試行錯誤の末に「ミゼット」を修復した関さん
長野県諏訪市湖南田辺で自動車販売、修理などを手掛ける関モータースの関文隆さん(46)は、昭和30~40年代に普及した軽三輪トラック「ミゼット」を再生した。半世紀以上前、人気を博した同車も今や希少。「構造はシンプルなのに全く仕組みが分からない」(関さん)中、手探りで修復し、戦後の自動車産業成長期を支えた職人たちのこだわりと技術の高さに触れたという。
「ミゼットが欲しい」というお客さんの要望で、車探しから始めたものの、「あそこの車庫にあった、あの人が持っていた、という話を聞きつけては片っ端から訪ねたが空振り続き」。ようやく茨城県水戸市内の同業者が所有する情報を得て、昭和39年式「MP5」シリーズ前期の車を譲り受けた。
ところが足回りはさびで覆われ、燃料タンクにも車底にも大穴が。劣化したばねをできるだけ安くオリジナルで製作してくれる業者探しにも苦労した。「当初はインターネットで調べれば大抵のことは分かる、現代の技術で何とかなるはず、と甘く見ていた」と関さんは苦笑。伊豆大島の同業者に教えを請いながら試行錯誤し、約半年がかりで完成させた。
修復作業を通して、「現代の部品では代替が利かず、性能も勝ることができない。車づくりに対する先人の熱意と意地を感じた」といい、その中でもせめて―とワイパーの機構に新たにモーターを取り付けて改良にも挑戦した。
関さんはこの経験を生かそうと、2台目のミゼットも入手。修復して昭和レトロの会場演出用にレンタルしたり、他車種の旧車再生にも挑戦したりしたい、と職人の意気を見せている。
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