チェーンソーを使って本宮一之御柱の木作り作業を進める豊平・玉川の氏子たち(代表撮影)
諏訪大社式年造営御柱大祭(御柱祭)の上社山出しを前に27日、本宮、前宮に曳き建てる御柱の木作りが長野県茅野市・原村境の綱置場で始まった。本宮一、本宮四、前宮四の3本の作業があり、御柱の前後にV字型に取り付ける「メドデコ」の差し込み口などを開けて準備を整えた。残る前宮一、本宮二、前宮二、本宮三、前宮三の5本は30日の予定。山出しは4月2日にトレーラー搬送で行われる。
本宮一の作業には斧取り、梃子、メド、元綱など各係の氏子ら約100人が奉仕した。周囲に霧が出る中、午前7時30分前に神事を行い、斧取り係を中心にチェーンソーなどを使って作業開始。綱と御柱を結ぶ「わなぐり」やメド穴を作った。作業が進むにつれて青空が広がり、冠雪した八ケ岳も望めた。
周りの氏子がチェーンソーの刃の角度について合図を出しながら慎重に作業。寸法通りにメド穴を開けると歓声が上がった。前回御柱祭で玉川地区の斧長を務めた伊藤誠さん(56)は「木作りはチームプレーが必要。よくやっている」と見守った。伝統技術を継承するため、 経験豊かな先輩が若手に助言する場面も見られた。
里曳き用のメドデコなどを差し込んで調整した。本宮一は目通り周囲300センチの巨木。豊平地区の斧長、柳平昌志さん(48)は「大きい柱だが、スムーズに作業ができた。良い木作りができてほっとしている」と安堵した。
通常だと1000人を超える氏子が訪れるが、新型コロナウイルスの影響で人数を制限した。豊平地区の矢島正恒大総代(67)は「限られた氏子、係の人数だったが、山出し前最後の行事が無事にできた。コロナ対策をさらに高め、里曳きでの曳行実施に結び付けたい」と話した。
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