移動販売の焼きいも屋を始めた河村亮さん、まさ子さん夫婦。住民や観光客との出会いを楽しみにしている=富士見町の道の駅「信州蔦木宿」
昨年4月に新規就農した長野県富士見町御射山神戸のパセリ農家河村亮さん(49)、まさ子さん(49)夫婦が移動販売の焼きいも屋「やきいもキジ農園」を始め、週末を中心に町内の道の駅「信州蔦木宿」に出店している。夫婦で育て熟成させたしっとり甘い「紅はるか」を使用。大みそかに開店した出来たてほやほやのお店だが、「すごく甘い。おいしい」と購入者のほくほく笑顔が広がっている。
亮さんは読売新聞大阪本社記者、ヤフージャパン勤務などを経て愛知県で環境関連の事業を手掛けていた。両親がかつて原村でペンションを営み、自身も毎年夏にアルバイトで富士見高原へ。2020年5月、縁のある八ケ岳エリアへ夫婦で移り住んだ。
就農に向けてはゼロからのスタート。亮さんは茅野市のパセリ農家、介護士をしていたまさ子さんは原村のセロリ農家のもとでアルバイトに励んだ。「畑ならいくらでも貸すぞ」。そう声を掛けてくれたのは富士見高原で知り合った住民たち。富士見町の木之間、花場、休戸で休耕地などを借り、パセリ農家として一歩を踏み出した。JA信州諏訪の勧めでキクの栽培も手掛けている。
家庭内6次産業化への夢を持っていたという夫婦。同道の駅で焼きいもの販売をしていた男性にも出会い、高齢で継続できなくなった思いを継いで、農閑期に焼きいも屋を営む決意をした。1000株を定植し、昨秋に800キロを収穫。室温13度に保った部屋で熟成させ、移動販売車の制作に取り掛かった。
屋号も出会いから。「畑周辺に良くキジが来ます」。友人に依頼し、キジがほくほくの焼きいもを抱えるロゴも作った。「ゆくゆくは町内に店を構え、大学いもや干しいもも提供したい」と亮さん。住民や観光客との出会いと対話を楽しみにし、町のPRや集落の活性化にも貢献したいと意欲を見せている。
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