氷斧を何度も振り下ろし諏訪湖の氷を割る=8日午前6時48分
「ぜいが流れている」
長野県の諏訪湖の御神渡り(御渡り)の判定と神事をつかさどる八剱神社(諏訪市小和田)の総代、桑原良次さん(63)=同市高島=は、8日朝の観察で白い氷の破片が流れ、まるで亀の甲羅のようになった舟渡川の水面を見てこうつぶやいた。「ぜいが流れると諏訪湖は凍る」のだという。
全面結氷宣言の翌朝。手元の温度計で氷点下8.5度という厳しい寒さとなった諏訪湖では、前日昼に解けた氷も再び凍り、湖面の約8割を覆った。
岸辺には前日までの氷が流れ着いて折り重なり、一晩でできた5ミリほどの氷「一夜氷」の分、厚みが増していた。厚さを確認すると約5センチ。氷斧を何度も振り下ろして氷を割った勝本竜一郎さん(53)=同市北小路=は「氷が厚くなり、1回では割れなくなってきている。手応えはいい」と笑顔だった。
宮坂清宮司(71)によると、「ぜいが流れる」という表現はかつて年配者がよく使っていたという。建築業の経験を持つ桑原さんは40年ほど前の20代の頃、当時80代だった大工の棟梁からその言葉を聞き今でも頭に残っている。「ぜいが流れると、諏訪湖は凍る。このままいけばきっと御神渡りが現れてくれるだろう。そう期待したい」と話していた。
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