クランクインを前に決意を述べる主演の井上さん(左から2番目)と、監督の桂さん(左から3番目)
昭和初期に国の弾圧を受け、24歳で死去した諏訪市出身の社会活動家伊藤千代子(1905-29年)の生涯を描いた劇映画が10月10日から、県内や首都圏で撮影が始まる。クランクインに先立ち、主演女優と監督とともに県内のロケ候補地を巡るツアーが17日から2日間の日程で始まった。県内外から約50人が参加し、来年5月の公開を心待ちにした。
劇映画「わが青春つきるとも-伊藤千代子の生涯-」は、映画企画・製作のゴーゴービジュアル企画(埼玉県)社長で監督の桂壮三郎さん(73)の思いでプロジェクトが始動。下諏訪町出身の藤田廣登さん(86)=千葉県=の著作「増補版 時代の証言者伊藤千代子」を原案に映画化が決まった。コロナ禍で撮影が約1年後ろ倒しとなり、来年3月の完成と5月からの上映を目指している。
ツアー初日の17日は龍雲寺霊園(諏訪市南真志野)にある千代子の顕彰碑に献花し墓参したほか、諏訪地域のロケ予定地の高島城や諏訪大社下社秋宮などを巡った。18日は松本市を中心に旧松本少年刑務所などを訪問する。17日には同市交流スペースすわっチャオで集会を開き、主演を務める円企画(東京)所属の新人女優井上百合子さん(26)が「この時代について知らなかったが、墓参をした時に諏訪湖が見えてとてもきれいで安心した。精いっぱい演じたい」と決意を述べた。桂監督は「理想に向かって突き進む生き方を若い人に見てほしい。真面目に真正面に生きるのが大事だと千代子に託して描きたい」と話していた。
伊藤千代子は諏訪高等女学校(現・諏訪二葉高校)を卒業し、代用教員などを経て東京女子大学で学ぶ。共産党員として反戦や男女平等を訴え続け、治安維持法違反で逮捕・投獄され、志半ばの24歳で死去した。
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