縄文人の「失敗品」と見られる遺物をまとめて紹介しているコーナー=茅野市尖石縄文考古館
「実は失敗もする(?)縄文人」。こんなタイトルのコーナーが長野県茅野市尖石縄文考古館に設けられた。市内の遺跡から出土した遺物を中心に土器や矢じりなどを複数展示。ペンダントにするため穴を開けようとしたが一度で貫通できなったと見られるヒスイや、調理の際にうっかり焦がしてしまったような「お焦げ」の付く土器などを並べた。
同館は「縄文人全員が(館内で)展示されているような高いレベルで土器作りをして、料理もうまかったというと、実はそんなことはなさそう」とする。
「博物館に出掛けると、見応えのある出土品がズラッと展示されているが、それらはその博物館のレギュラー選手のようなもので、要は一番”イイ”ものを展示している」と同館担当者。そこで”失敗品”に焦点を当て、普段は表立って紹介していない遺物をまとめてクローズアップした。
ヒスイは2遺跡から出土したものを展示した。いずれも穴のほかに加工を施したへこみがあることを紹介。お焦げ付きの大型土器には、内側にネギ類が こびりついているとして「失敗か、寝過ごしたか…ネギ類が焦げ付いてしまうほどの火力で調理していたらうっかり焦がしてしまったか」とみる。
左右が対象でないなど加工が雑な作りの「下手」な矢じりも置き「矢じり作りを習得途上の失敗品と思える」と考察する。ランプとして使われたと考えられる吊手土器も置き、ストーリーを展開。同館学芸員は「”失敗品”を見て、おばあさんなど経験豊富な大人が(吊手土器をいろりに見立てて)いろりを囲んで次世代に知識や技術を語り継ぐ姿も想像してもらえれば」とする。
諏訪地方6市町の6博物館・考古館・美術館で開催中の「星降る縄文インスタキャンペーンスタンプラリー」(県諏訪地域振興局主催、11月6日まで)の同館独自の取り組みとして行っている。
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