長野県信濃町の旧家で見つかった伊勢型紙
100年以上の時を経てよみがえった「藍染め」。かつて、なりわいとしていた長野県信濃町の旧家で、当時、使っていた型紙が大量に見つかり、文化として残す取り組みがスタート。藍染め体験会が好評だ。
■150年~200年ほど前の「型紙」で
藍染め体験会
白い布を、黒い液体の入ったかめに沈め、1分ほどして上げると、布は深い緑色に。
これを池の水でゆすぐと―。
参加者:
「おおーきれいじゃない、すてきすてき」
先日、信濃町古海地区で開かれた藍染め体験会。
参加者:
「ほとんどやってもらったんですけど、きれいです」
「型紙を使えたっていうのがとてもうれしいです。昔の模様なのにモダンなものが多くて」
染めた布にはさまざまな柄が入っている。実は150年から200年ほど前の「型紙」を使って入れたものだ。
■旧家で使っていた「型紙」が大量発見
土蔵から伊勢型紙800枚以上が見つかる
会場となった旧家の家主、北村秋敏さん(73・信濃町町議)。
北村秋敏さん:
「富右衛門っていう名前で3代、(江戸時代)文化文政から明治の中ごろまで、約80年間、藍染めをやっていたと」
北村家はかつて、藍染めをなりわいとしていた。
北村さん家の土蔵から見つかった伊勢型紙
家の中を案内してもらうと、たくさんの「型紙」が―。
北村秋敏さん:
「こちらが伊勢型紙の一部です」
「伊勢型紙」は、三重県鈴鹿市に伝わる国の伝統的工芸品。柄や文様を入れるのに使われ、江戸時代、行商が全国各地で売り歩いていた。
北村さんは県外で働いていたが20年程前、実家にUターン。土蔵を整理中、800枚以上もの型紙を見つけた。
北村秋敏さん:
「非常にびっくりしました。『清水屋』っていう屋号と、染め物をやっていたことは聞いていましたが」
古海の藍 主な販売先
学芸員の協力で詳しく調べると北村さんの先祖は、明治期にかけて多くの人を雇って藍の糸や反物などを作り、善光寺界隈や飯山で売っていたことがわかった。
藍染めをやめた後も型紙だけは土蔵に残されていた。
■精巧で美しいデザイン
「縞彫」縞にとび梅柄
精巧で美しいデザイン。
北村秋敏さん:
「日本の美的センス、職人技の素晴らしさというのがうかがえると思います」
背景にしま文様がある縞彫(しまぼり)。しまとジグザグの直線が合わさる中、丸みのある梅がアクセントになっている。
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