会見で握手を交わす八十二銀行の松下正樹頭取と長野銀行の西澤仁志頭取(右)
八十二銀行(長野県長野市)と長野銀行(松本市)は1日、経営統合した。八十二銀行を完全親会社、長野銀行を完全子会社とし、株式交換した。今後は2025年度中の合併を目指し検討を進める。マイナス金利環境下では、銀行の基本的業務だけでは持続的発展が難しいとみて業務の幅を広げたい意向が両行にあり、ノウハウや人材の共有による収益の増強、システムや店舗の統廃合によるコスト削減などの効果を狙う。
合併やシステム統合の時期、合併後の行名称については、年内にスケジュールを発表する予定。
これまでも法人顧客の経営コンサルティング、事業承継やM&A(合併・買収)、個人顧客のライフステージに応じた支援など幅広いサービスを展開してきたが、商社や電力事業などさらに業務の多角化を目指すに当たって、統合による人材の最適化で新規事業へ人材を投入していく。
店舗の統廃合は、距離10キロ、車で15分圏内に近隣店舗がある場合に検討するが、八十二銀行の「はちにの相続コンサルプラザ」など「特化型」店舗は増やし、個人向けサービスを充実させる。
合併までの間も、両行のコンサルティング業務を掛け合わせた「共創プロジェクト」を展開。事業承継やM&A、海外進出、経営改善などの法人向けサービスを強化する。
現金自動預払機(ATM)を互いの銀行カードで利用する場合の提携手数料の無料化や、両行間のATMからの振り込みを「他行扱い」から「本支店扱い」へ変更して手数料を優遇することも検討中で、10月2日からの実施を目指している。
■店舗統廃合などで中身濃く 両頭取会見
八十二銀行の松下正樹頭取と長野銀行の西澤仁志頭取は1日、長野市の八十二銀行本店で会見した。
松下頭取は人手不足を繰り返し強調。銀行の基本業務以外に事業拡大するため子会社をつくったものの、「(銀行業務は)フェース・トゥ・フェースが基本。どうやっても人が足りない」と話した。西澤頭取も「さまざまなサービスを展開するには、限られた人材だと難しかった」と同様の課題を抱えているとした。
松下頭取は、個人のライフサポートや法人のコンサルティングの充実が「金融機関の生き残る道」とし、「(合併による店舗の統廃合などで)ご不便をお掛けする部分はあるが、それに勝る中身の濃いサービスを提供できれば」、西澤頭取は「重要な第1ステップを迎えられた。皆さまの期待に応えられるよう、一生懸命やっていきたい」と抱負を語った。
両行の統合は昨年6月1日に松下頭取が西澤頭取に持ち掛けた。両行は同年7月から極秘で検討を重ね、9月28日に基本合意、今年1月20日に最終合意した。
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