霧ケ峰・伊那丸富士見台の延焼地にライトを照らし、シカの出現状況を調べるメンバー=28日午後8時30分
長野県の諏訪、茅野、下諏訪の3市町にまたがる霧ケ峰で、県環境保全研究所と霧ケ峰自然保護センターは28日夜、今年度1回目のニホンジカの出現状況調査(ライトセンサス)を行った。車を低速走行させながら道路両側の草原や樹林帯にライトを照らし、光るシカの目から頭数をカウント。178頭を発見した。芽吹きの緑が広がり始めた林野火災延焼地への出没状況が注目されたが、初回の調査ではそれほど目立たなかった。
毎年春と秋におおむね4回ずつ行い、現状と傾向を調査している。茅野市大門峠―諏訪市強清水(16キロ)、八島ケ原湿原―踊場湿原(10キロ)の2ルートで、この日は午後7時半すぎから調査を開始。霧ケ峰パークボランティアと諏訪地域振興局職員を含め7人が従事した。
178頭のうち、大門峠―強清水の発見数が129頭を占めた。調査ルートには富士見台や伊那丸富士見台などの火災延焼地が含まれ、これらの地点では車から降りてライトを照らした。同研究所(長野市)自然環境部は「焼け跡への出没は目立つ感じではなかった」としつつ、「1回だけでは分からず、今後の結果を注視する」とした。
霧ケ峰では10年前の2013年4月、今回の林野火災より広範囲を焼く大規模火災が発生。翌年春のシカの出現状況調査では、平均発見頭数が226頭と突出した数字となり、新芽を求めてシカが集まった可能性が指摘された。
同研究所によると、林野火災とは関係なく、発見頭数は15年以降緩やかな右肩上がりを続けており、生息数と密度は「高止まりの状態が続いている」と説明。電気柵などで植物を守る対策が引き続き必要―としている。
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