信州大学農学部の北側に建設する伊那市産学官連携拠点施設の用地=伊那市西箕輪
長野県伊那市が同市西箕輪に建設する「産学官連携拠点施設」の安全祈願祭と起工式が16日、現地であった。信州大学農学部や企業の関係者が農林業分野の研究に取り組み、地域産業の振興を目指す拠点施設。来年3月の完成後、4月からの運用を目指す。
計画によると、同施設は今後の持続可能な地域づくりに向け、新たな仕事の創出(起業)や働く場の確保(雇用創出)などを目的に、信大農学部に近い住宅団地跡へ建設。さまざまな研究者が農業や林業、食、健康寿命をキーワードに研究、開発を行うほか、食品や木材産業などに携わる人材の確保に取り組む。
施設内には研究室として使える貸室を確保。一例では施設開設後、小型無人機ドローンによる空撮と画像分析を農林業分野に生かす取り組みの新ビジネス化に向けた研究を行う信大関係者の活用などを想定している。
市では森林資源の活用を目指す「50年の森林ビジョン」に基づき、林業・木材産業の振興、木質バイオマス普及、二酸化炭素削減などの取り組みを促進する計画。白鳥孝市長は「家庭用木質ペレットボイラーの研究ができないか模索している」とし、「老朽化する農業用水路の延命策を研究してほしい」と期待した。
市によると、建物は木造一部鉄筋コンクリート2階建てで延べ床面積1293平方メートル。1階は講堂、多目的ホール、展示コーナー、事務室、会議室、応接室を設置する。研究者用の貸室は1階に3室、2階に7室を設置。2階には市民も利用でき、南アルプスの景色を展望できるリフレッシュコーナーを作る。
総事業費は約9億9700万円。国の交付金や事業債を活用する。設計は清水設計事務所、施工は建築が宮下・池田特定建設工事共同企業体、電気設備が林電機商会、機械設備が清野建設。
この日行った業者主催の安全祈願祭には、信大や市の関係者、住民ら約40人が出席。神事に臨み、工事の安全を祈願した。市は今後、施設の愛称を公募する方針だ。
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