弥生時代後期の墓とみられる穴。複数の石が埋められている
長野県茅野市教育委員会は、永明小中学校新校舎と周辺施設の建設に伴い、同市塚原の建設予定地にある「永明中学校校庭遺跡」の発掘調査を行っている。今年度は社会体育館建設予定地で行い、これまでに弥生時代後期のつぼやかめ4点、複数の石が埋められた大きな穴1カ所が出土。いずれも死者の骨や遺体を埋葬した土器、墓とみられる。28日には発掘調査の成果を報告する現地説明会を開く。
同遺跡は1970年、永明中学校校庭の造成時に発見された。新校舎建設に伴う発掘調査は2021年度から実施し、弥生時代の大規模集落を確認。昨年10月からは、遺跡全体の西側に当たる社会体育館の建設予定地約1500平方メートルで行っている。
墓とみられる穴は3メートル×2メートルほどの大きさ。穴の中に置いた木棺の周囲に石を積んで埋葬したと考えられ、石だけが長方形に残っている。弥生時代の土器片と金属製品も出土しており、今後、県立歴史館で金属製品の分析を行うという。
市教委によると「弥生時代後期に石で囲った様式の墓は県内で類例がない」といい、「金属製品は装身具と思われることから、集落のリーダーなど特別な地位にある人の墓の可能性が高い」と推察。このほか住居跡7軒も発見された。
今回の調査は6月上旬で終了する。同市文化財課の堀川洸太朗さん(28)は「諏訪地域でこれだけの面積の弥生時代の集落を調査することはめったにない。住居域と墓がセットで確認できたのは大きな意義がある」と話した。
28日の現地説明会は午前10時、午後1時30分の2回開く。事前申し込み不要。問い合わせは市教委文化財課(電話0266・76・2386)へ。
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