霧ケ峰を代表するニッコウキスゲ群生地の車山肩で、シカよけ電気柵の設置作業を進める関係者
長野県や市町、地権者などでつくる霧ケ峰自然環境保全協議会は11日、ニホンジカによる花芽の食害や植生地の踏み荒らし被害を防ごうと、ニッコウキスゲの群生地でもある霧ケ峰・車山肩(長野県諏訪市)に電気柵を取り付けた。県や諏訪市、霧ケ峯湖東牧野農協などから33人が参加し、西側の群生地を囲むように総延長2キロの柵を張り巡らせた。
2班に分かれて作業し、高さ1.5メートルの支柱に通電線を張り、群生地をぐるりと囲い込んだ。一部区域は花の写真を撮りやすくするため、高さを抑え、奥行きでシカの侵入を防ぐ二重柵にした。13日には霧ケ峰高原牧野農協などが車山肩の東側に総延長0.5キロの電気柵を張る予定だ。
約180ヘクタール(暫定値)を焼いた4日の林野火災で、車山肩は延焼を免れた。霧ケ峯湖東牧野の加賀見文彦組合長=茅野市=は「群生地も建物も無事で良かった。だが、新芽を狙ってシカの出没が増える恐れがある。ニッコウキスゲを保護するために、しっかり作業したい」と話した。
協議会事務局の県諏訪地域振興局環境課によると、霧ケ峰に今年度設置するシカ柵の総延長は、八島ケ原湿原(下諏訪町、諏訪市)の外周にある常設の鋼鉄柵を含めて13.9キロ。柵で囲った場所は花芽が守られている。火災で群生地の4分の3ほどが焼け焦げた富士見台(諏訪市)は10日に設置を済ませている。
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