白樺湖から流れ出た魚が下流に下らないよう特製ネットを作製した関係者
増水の影響で茅野市郊外の長野県白樺湖から流れ出たコイやヘラブナなどを湖に戻そうと、釣り愛好者や湖を管理する池の平土地改良区の役員が11日、湖直下の川で泳ぐ魚を捕獲して湖に戻す”作戦”を実行した。昨年まで同場所周辺で釣り上げた魚を湖に戻していたが、網を使った捕獲、再放流は初めて。207匹を捕まえ、湖に放した。
同改良区によると、白樺湖には昨年11月ごろ、ヘラブナなど2600匹を放流した。その後の増水で湖から流れ出てしまい、この日は推定で約300匹の魚が湖直下の橋の下に密集していた。
作戦は釣り愛好者の乙野利夫さん(72)=茅野市米沢=と藤森寿彦さん(67)=諏訪市湖南=が発案。湖の資源を守ろうと企画し、9人が参加した。捕獲には、最大約5・5メートルの川幅に合わせ、左右に余裕を持たせる幅約7メートル、高さ約1メートルのネットに等間隔で支柱を立てた手作りの特製ネットを作製して臨んだ。
5人が川下から川に入り、魚が下流に下らないよう逃げ場をふさぎながら、上流に向かってゆっくりと歩いた。上流部に追い込んだ後、柄の付いた網ですくい、なるべく傷つけないように注意しながら釣り用の網籠に入れ、橋上の脇から引き揚げて湖に放した。体長50~60センチのヘラブナなどを多数捕獲した。
乙野さんらは昨年、直下の川から釣り上げて湖にリリースしている。同日の作戦と昨年分を合わせると、438匹を放流したことになる。
活動に参加した同改良区の両角忠理事長(64)は「以前から、白樺湖から流れ出た魚をどうにかしたいと思っていた。貴重な資源なので大切にしたい。釣り愛好者の皆さんの発案と実行に感謝したい」と話していた。
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