テープカットで南アルプス林道バスの運行開始を祝う関係者
南アルプス北部の登山口と麓を結ぶ長野県伊那市営南ア林道バスは25日、今季の運行を始めた。6月14日まで同市長谷の戸台口-歌宿(約16キロ)、同15日~11月15日は戸台口-北沢峠(約23キロ)を走る。利用は新型コロナの影響が落ち着く中で昨年から回復。年度内には発着の拠点となる林道バス営業所(バス乗り場)や周辺施設の再整備も控える。関係者は今後のさらなる利用増に期待をかけて山岳観光シーズンをスタートさせた。
バスの年間利用者は、2003年に過去最多の6万2756人を記録。ここ数年はコロナ禍の影響で20年が全面運休、21年は林道損傷に伴う区間運休などもあって約2万5千人と低調だったが、22年は前年の倍となる5万735人にまで回復した。土砂崩落で損傷した山梨県側の林道が復旧しておらず、南ア仙丈ケ岳や甲斐駒ケ岳を目指す登山者の伊那市側からの入山が増えていることも利用増の一因という。
バス利用が上向く中で市は今年度、バス乗り場周辺の戸台口を山岳観光拠点として再整備する。乗り場に隣接する観光施設「仙流荘」など周辺の整備を一体的に行い、バス乗り場を仙流荘の入り口付近に移すなどして利便性を向上させる。周辺の駐車場も拡張。さらにバス輸送の効率化を図るため、現在マイクロバスで運行する車両の大型化も今年度以降に進める。
バス営業所で開いた出発式で白鳥孝市長は、山梨県側の土砂崩落の影響などに触れて「戸台口にはさらに多くの皆さんが訪れることになる」とし、安全運行を求めた。テープカットで運行開始を祝うと、「南アルプスの美しさを少しでも楽しめたら」と市地域おこし協力隊の堤耀子さん(30)らがバスに乗り込み、歌宿を目指した。
時刻表は市ホームページに掲載。主な料金は仙流荘―歌宿は片道850円、仙流荘―北沢峠は同1150円。小児半額。登山道具など手回り品料金は220円、戸台口駐車場の利用は5日以内1000円など。問い合わせは営業所(電話0265・98・2821)へ。
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