「水平放任」で栽培したフルーツトマト
味だけでなく栽培方法も果物のような「フルーツトマト」。脱サラして「水平放任」という珍しい栽培方法にゼロから取り組み、会社を立ち上げるまでに至った長野県箕輪町の男性を取材した。
【動画で見る】“水平放任”にかけた男性 高糖度の「フルーツトマト」生産 ゼロからスタート…試行錯誤 販路拡大めざす
■フルーツトマト 栽培26年
フルーツトマトの収穫(信州トマト工房・長野県箕輪町)
木の幹のように太い茎。見上げると葉は横に広がり、たくさんのトマトがなっている。糖度が高い、いわゆる「フルーツトマト」だ。
箕輪町にある「信州トマト工房」のハウス。
信州トマト工房・唐沢金実さん
信州トマト工房・唐沢金実さん:
「一番食べごろはヘタの辺りまで真っ赤。そういうのが一番おいしい」
代表の唐沢金実さん(69)は26年前から、このトマト栽培に取り組んでいる。
■「水平放任」 ブドウのような棚
「水平放任」はブドウのように棚を作って茎や葉を広げさせる
トマト栽培はひもや支柱で苗を誘引する「縦型」が主流。
一方、こちらはブドウのように棚を作って茎や葉を広げさせる「水平放任」という栽培方法だ。
そうすると―。
実にたくさんの糖がたまる
信州トマト工房・唐沢金実さん:
「(水平放任は)葉っぱの面積が縦栽培の面積より広くなる。そうすると光合成をする量が多くなるので、実にたくさんの糖がたまる」
■「水耕栽培」 さらに甘く…糖度は最高12度
甘くする工夫は他にも。土を使わない、水と液体肥料の溶液で育てる「水耕栽培」。甘みが増すよう、溶液の濃度を調整して、余分な水を吸わせないようにしている。
一般的なトマトの糖度は4度から6度ほどだが、ここのトマトは「9.9度」だった。
糖度は最高で12度くらい
信州トマト工房・唐沢金実さん:
「一般的なイチゴレベルだと思ってもらえれば。(最高でどれくらい?)12度くらいですよ」
(記者リポート)
「甘いですねー、普通のトマトと比べて一回りくらい小ぶりなんですが、凝縮されたうま味があって、とてもおいしいです」
血流改善などに効果があるとされる「リコピン」も多く含まれているということだ。
■ゼロからのスタート
信州トマト工房(箕輪町)
甘いトマトで成功した唐沢さん。元々はサラリーマンでゼロからのスタートだった。
唐沢さんはメーカー勤務だったが酪農をしていた父親が亡くなり、農業を始めることに。42歳のときだった。
信州トマト工房・唐沢金実さん:
「(酪農で使っていた)この土地を生かす方法ないかということで農業に入りました。(当時)トマトだけが、右肩上がりで生産量が増えているというのを見まして、これだなと」
ある日、雑誌を読んでいるとフルーツトマトの記事が目にとまった。
信州トマト工房・唐沢金実さん:
「フルーツトマトって何ぞやと。(都内の)デパ地下まで買いに行きまして、あずさの中で食べたらとんでもない味がする」
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