通行止めになっている県道岡谷茅野線。下馬橋には下馬沢川から引き上げた土砂などが残る=10日
長野県茅野市高部で5日の大雨に伴い発生した土石流災害により、県道岡谷茅野線神宮寺交差点(諏訪市)―高部東交差点(茅野市)間の通行止めが続き、経済活動や市民生活に影響を与えている。新型コロナウイルスの影響で客足が減る中で起きた土砂災害による幹線道路の通行止め。周辺店舗の関係者からは「追い打ちをかけられた」と嘆きの声が聞かれる。
「新型コロナでお客さんが少なかったのに加えて大雨の影響が出てダブルパンチです」。3月末に開店した洋食店「ときわや食堂」は通行止め区間内の諏訪市神宮寺に店舗がある。大雨から4日後の9日から営業を再開。通行止め区間が始まる場所には県に依頼して店舗まで通行できることを示す看板を設置してもらったが、9日は通常10~20人ほど来るランチタイムは4人と少なかったという。
店主の岩波健一さん(52)は「人が全然通らない」と通行止めの長期化を懸念。「通行止めにすることは分かるが店にとっても死活問題。お客さんが来なければ店を休みにするしかないが、休業しても何の得もない。悩みどころ」と語った。
高部東交差点近くの国道152沿いにあるフィットネスクラブ「Lakuness(ラクネス)」(茅野市安国寺)は災害直後の2日間を臨時休業にして8日に再開した。オーナーの上兼勉さん(43)は「新型コロナで控える人もいるのでレッスンに来る人は2~3割少ない」。同じく国道沿いの松木寒天産業の直売所もコロナの影響で客足が遠のく中、道路の通行止めがさらに影を落とし、6、7日の来店者数は普段の3分の1程度だったという。
「(安国寺の)量販店に行く時に迂回しないといけないので不便」と話すのは神宮寺在住の女性(61)。県道が通れない代わりに周辺の生活道路の交通量が増えているとし、「特にお年寄りは事故に気を付けないといけないと思う」と話した。
県諏訪建設事務所は、同県道の通行止め解除には土砂撤去などが必要で「現時点では見通せない」としている。土石流災害では市道の高部交差点―宮川新井交差点間も通行止めが続いている。
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