伊那市創造館で開かれている企画展「中尾歌舞伎」
長野県伊那市創造館で、第29回企画展「中尾歌舞伎」が開かれている。江戸時代から同市長谷中尾地区で継承され、上伊那に唯一残っている地歌舞伎である中尾歌舞伎の歴史をひもときながら魅力を紹介。衣装や小道具、台本などを展示し、中尾歌舞伎の代表的な演目をプロジェクターで上映している。
中尾歌舞伎は、明和4(1767)年に旅役者の一座が興行で中尾に滞在した記録があり、その頃に住民が台本を写し所作を学んだのが始まりといわれる。太平洋戦争で公演が中断され、昭和61(1986)年に地元の青年会が古老と一緒に復活させたという。
中尾歌舞伎の定期公演が29日、3年ぶりに開催されることを受け、同館は企画展を計画。中尾歌舞伎は近年、後継者不足が課題となっており、この機会を通して中尾歌舞伎への関心を高め、盛り上げたいという思いもある。
2階の企画展示室では、復活に至る経緯など中尾歌舞伎に関わる歴史や知識をパネルで展示。復活に尽力し、地域伝統芸能の継承、振興に寄与した中尾歌舞伎保存会の師匠、西村清典さん(享年95)が生前に答えたインタビュー映像を流している。「御所桜堀川夜討 弁慶上使の段」の弁慶役のあでやかな衣装や刀、かつらなど実際に舞台で使われる衣装や小道具、化粧道具、西村さんの手書き台本が並び、慶応元(1865)年に作られた「六歌仙の引幕」なども飾られている。
1階事務室の横には、くまどり付き顔出しパネルを設置し、記念撮影が楽しめる。
同館は「企画展を通して中尾歌舞伎に興味を持ち、鑑賞したい、参加してみたいという気持ちになってくれたら」と来場を呼び掛けている。保存会では参加者を募集しているという。
企画展は6月26日まで。午前10時~午後5時(最終受け付けは午後4時45分まで)。入場無料。休館日は毎週火曜日。問い合わせは同館(電話0265・72・6220)へ。
[/MARKOVE]