持ち込んだ温度計で水温を測る宮坂清宮司(奥)と大久保一大総代=19日午前6時34分ごろ、諏訪市豊田の舟渡川河口付近
20日は二十四節気の一つで、1年で最も寒い時期とされる「大寒」。諏訪湖の全面を覆った氷がせり上がる御神渡り(御渡り)の判定と神事を行う八剱神社(長野県諏訪市小和田)は、今年も湖面観察を続けている。昨年は大寒までに3度全面結氷したが、今年は雨や気温上昇などが影響してまだ見られていない。同神社の宮坂清宮司(72)によると、全面結氷が起きずに「明けの海」になった2015年や20年と状況が似ているという。しかし12年には1月30日に初めて全面結氷し、4日後に御神渡りが出現している。宮坂宮司と氏子総代はこうした事例にも期待を寄せ、5季ぶりで令和初の出現を願い、湖面を見守っている。
19日の湖面は氷が張らず、水鳥が泳ぐ姿が見られた。同神社によると、観察を行う諏訪市豊田の舟渡川河口付近の午前6時30分ごろの気温は氷点下4.4度、水温は3.1度。どちらも前日より低かった。宮坂宮司は「気温が下がってきたが、結氷には遠い。穏やかな湖面が続いている」とまとめた。
観察初日の6日は、沖合1メートルまで厚さ4ミリほどの薄氷が観察場所周辺の湖面に広がった。気温も氷点下8度で、宮坂宮司は「出現に向けて良いスタートが切れた」と期待を表し、大久保一大総代(72)は「今年こそ拝観式をやりたい」と意気込んだ。
7~9日は氷が張り続けたが、10日は強風が湖面をかき回して氷がなくなった。12日は、今季の観察開始後最も低い氷点下9.2度が計測され、再び厚さ約9ミリの氷が沖合20メートル先まで広がった。氏子総代らから笑顔が見られ、期待感に包まれた。
ところが14日には気温7度を記録し、氷もほとんど消えてしまった。16日まで気温が氷点下にならず、宮坂宮司は「1980年以降の記録を見ると、気温が氷点下にならなかった日が3日続いたのは初めて」と話した。
17日からは気温が再び氷点下に戻ったが、湖面は凍らない。宮坂宮司は「仕切り直しと言った感じ。諦めてません」と前を向き、「大寒を過ぎれば本格的な寒さになると思う。わくわくしている」と今後に期待した。
長野地方気象台によると、20日は高気圧に覆われて晴れ、諏訪の最低気温は氷点下4度を予想。25日からは氷点下10度を下回る厳しい寒さを見込んでいる。御神渡り出現は、全面結氷し、氷点下10度以下が2、3日続くことが目安となる。1989年以降は9回出現している。
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