ふくろくの見本と平岩さん
長野県伊那市の一般社団法人・福祉KtoYは、福祉の知識をゲーム感覚で学ぶすごろくを商品化しようと活動している。「ふくろく~福祉人生すごろく~」と命名し、ゴールを目指す過程で介護や性的少数者、関係する公的サービスについて考え、参加者同士が意見交換する仕掛けなどを組み込んだ。制作資金をクラウドファンディング(インターネットを介した資金募集)で25日まで募っている。目標金額は120万円。これまでに約80万円(9日午後6時現在)が寄せられた。
◆やりがい、優しさ、喜び◆
福祉KtoYは、社会福祉士で同市集落支援員の平岩なつみさん(28)=同市富県=が福祉のイメージを「3K(きつい、汚い、給料が安い)から3Y(やりがい、優しさ、喜び)」に変えようと立ち上げた。暮らしに必要な福祉の知識を調べるきっかけづくりとして、ふくろく制作を構想。2017年から準備を始め、県内外の団体や賛同者、医療従事者などさまざまな人の意見を集約し、試作と改良を重ねてきた。
ふくろくのルールは、福祉にちなむ文章の書かれたカードをマス代わりに並べ、通常のすごろくと同じくサイコロを振って出た数だけ前進。カードの文言は「障害者雇用枠で採用された人に仕事を教える」や「介護が必要な家族のため施設を探す」などさまざまな場面を想定した内容で、通過するごとに「やりがい」「やさしさ」「よろこび」のポイントがたまる。 参加者同士のディスカッションやクイズが提示される場合もあり、知識の定着や異なる価値観の理解促進も図る。
全体の流れはファシリテーター(進行役)が担い、参加者が意見を言いやすいように配慮する。カード形式を採用したことで順番の入れ替えができる。各自で考えた文言を書き込める白紙のカードも用意した。対象年齢は小学校高学年以上を想定している。
◆生きづらさを減らしたい◆
平岩さんは福祉の情報が困っている人に伝わりにくい状況を踏まえ「深刻化する前に手を差し伸べ、生きづらさを減らしたい」とふくろくに込めた願いを語った。「一人でも多くの人に体験してもらい、自分の思いを書いた自分だけのすごろくにもしてほしい」と話していた。
ふくろくは1セットに計80枚を収め、ポイントの書かれたチップ、駒などで構成する予定。来年1月の発注を目指す。今後はファシリテーターの養成講座も計画している。
クラウドファンディングは一口3000円から募集。問い合わせは、平岩さん(メールfukushi.ktoy.mk@gmail.com)へ。
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