健康ウオーキングで千畳敷カールを歩くツアー参加者ら=15日
長野県上伊那地域の行政や企業でつくる一般社団法人・長野伊那谷観光局は、管内の魅力を観光という切り口で紹介する「上伊那魅力再発見ツアー」を展開している。2020年度から始まり、県の支援事業とも連動させる。15日は千畳敷カール(駒ケ根市)で健康ウオーキングを開き、参加者は緑豊かな自然を味わいながら散策を楽しんでいた。
自然や史跡など観光名所や伝統行事を旅行商品化して提供する取り組み。新型コロナウイルスの影響を受けた管内観光事業者への支援でもある。県の施策と連携し、現在は「信州割SPECIAL日帰り割事業」を活用する。
観光局によると、専門家のガイドによる詳細な解説などが好評という。信州割による料金の割引も特徴で、今回の健康ウオーキングの場合、通常の大人1万円を半額とし、さらに観光クーポンも2000円分付与した。
今年度は4月に、7年に一度の御開帳を迎えた光前寺(駒ケ根市)と桜で有名な高遠城址公園(伊那市)を訪ねるツアーを実施した。10月には写真家が指導する撮影ツアーや伊那谷ゆかりの俳人・井上井月にちなんだツアーなどを予定している。
健康ウオーキングは自然の中での心身のリフレッシュが目的で、60~80代の23人が参加。登山の支援や健康づくりの取り組みに協力している有志団体「里山プロジェクト」のメンバーが案内役を務めた。歩くだけではなく、認知症予防のためゲーム感覚で記憶力を試す企画もあった。
参加者は千畳敷カールの遊歩道をガイドの案内で散策。一定時間歩いたところで、見掛けた植物や付近の山の名前を答えるゲームに挑戦した。記憶を手繰り寄せようと頭をひねったり、思い出せずに降参したりとにぎやかな雰囲気。距離感や時間を把握するため、時計を見ないで5分間歩いてみる練習もあった。
駒ケ根市から夫婦で参加した60代女性は「広々として、空気も良い。(記憶力のゲームは)歩きながら考える新鮮な体験で、五感すべてに刺激を受けた」と感想。今後のツアー企画にも期待を寄せた。
里山プロジェクトの長沼位代表は「喜んでもらえたようで良かった。参加した方々が元気になり、地域で活躍して伊那谷に元気の種をまいてほしい」と話していた。
観光局は「地域づくりを目指しているので、地域の方々に意外と知られていない地元の良さを知ってもらい、魅力を観光面からスポットを当てて発信したい」としている。
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