発掘調査が進められている曽利遺跡で発見された縄文時代中期中葉とみられる装飾付き深鉢。15日の作業で取り上げられた
発掘調査が行われている縄文時代中期の曽利遺跡(長野県富士見町池袋)で15日、縄文時代中期中葉(約5000年前)とみられる装飾付きの深鉢が見つかった。一部が欠損しているものの底部まで残っており、修復によりほぼ全体が復元できる状態。内部の土を化学分析し、残留物や使用方法を特定できる可能性もあり、縄文文化のさらなる解明が期待される。
土器が見つかったのは、長さ36メートル、幅2メートルの試掘溝2本のうち東側の1本。住居址の床よりやや高い、地表から深さ40センチほどの所に横倒しになっていた。高さ約45センチ、直径約30センチあり、口の部分は波状で双眼模様が施され、下部には縄目文様が付いている。
井戸尻考古館によると、煮炊きに使われる典型的な形状だが、住居址内部から単独で発見される例は珍しい。儀礼など何らかの意図で置かれていたか、他の土器が残されている可能性もあるという。
小松隆史館長は「精巧に作られた良い土器。類例はあるが、それほど多くない。遺跡保存を目的にした限られた掘削で見つかるのは、大規模集落の曽利遺跡だからで、さすがだと思う」と話す。発掘を担当した学芸員の副島蔵人さんは「模様の変化が分かる貴重な材料。今回は他にも中期初頭の土器が見つかり、集落の広がりを捉える手掛かりになる」と期待する。
同遺跡は5年計画で発掘調査を行っており、今年で2年目。7月中旬に調査を開始し、6軒の住居址と墓穴などを確認して、ほぼ目的の作業を終えた。25日午前10時から現地説明会を予定している。
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