「むらの駅こむぎ」の傍島美奈さん
特集は長野市中条に「復活」した地域の味です。2020年に閉店したおやきやうどんが名物の食堂。地域の「粉もの文化」を受け継ぎたいと、地元の女性が店を復活させ、1年を迎えました。
【動画】西山の“粉もの文化”残したい
生地をのばし、少し太目に切ります。氷水でしめれば、歯ごたえのある冷やしうどんの完成です。
客:
「おいしいですよ、コシがあって、昔の田舎の味がして」
むらの駅こむぎ
長野市と白馬村を結ぶ通称「オリンピック道路」の近くにたたずむ小さな店。長野市中条にある「むらの駅 こむぎ」です。あるじは地元に住む傍島美奈さん(51)。店を「再出発」させてから今年7月で、1年を迎えました。
こちらの店、もともとは「むら道の駅 つくし」という名で旧中条村時代の2002年から営業していました。営んでいたのは、地元の女性たちでつくる「つくし会」のメンバー。
長野放送
しかし、会員の高齢化に加え、コロナ禍の影響で2020年5月に閉店しました。それから1年余り経った2021年7月、傍島さんが復活させたのです。
むらの駅 こむぎ・傍島美奈さん:
「お客さんの中には『しばらく閉めていたよね』とか『また開けてくれたんだね』とか、良かったと言ってくれる人もいて、それはうれしかった」
店だけでなく味も。こしのあるうどんと笹で包んで蒸したおやきは、前の店でも提供していました。
地元の住民:
「(傍島さんは)熱心、中条のために尽くしてくれる。中条愛だね」
長野放送
傍島さん、実は中条の出身ではありません。長野市街地の出身で、母と一緒に中条に引っ越してきたのは20代の頃。住民自治協議会や地元にできたジビエ加工センターで働いてきました。
むらの駅 こむぎ・傍島美奈さん:
「地元の猟師が『イノシシやシカ捕って、食べている』って言って、『えっ!食べられるの』と。私、これならできるかなと思って」
長野放送
中条がすっかり自分の「ふるさと」となっていた傍島さん。うどんやおやきを作った経験はほとんどありませんでしたが、店を継いでほしいという「つくし会」の女性たちの願いに心を動かされました。
むらの駅 こむぎ・傍島美奈さん:
「たまたま私は長野市の人口の多い地域で生まれて、借家だったんで『ふるさと』というものが漠然としている。でも、中条に来たら密接な関係で皆さん郷土愛が強くて思いにあふれている。それがインプットされちゃった。大事にしなきゃいけないんだと。だってなくなっちゃうもん。このままいってなくなっちゃったらやっぱり嫌だ。残したい。なんでもいいから『ふるさと』は残したい」
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