自治区から居住区民への情報発信でも活用できる富士見町のシステム。「夏のDigi田甲子園」に県代表として出場している
地域課題の解決に向けたデジタル技術の活用を競う内閣官房の「夏のDigi田(デジデン)甲子園」に、富士見町が長野県代表として出場している。町は、町内39の自治区が発信者となり、通信アプリ「LINE(ライン)」を活用して居住区民へ情報を伝えるシステムを構築。区からの情報を広く知らせる有効な手段と評価され、県内77市町村の投票で最多票を得て県代表の座をつかんだ。
同町はこれまでに、各家庭に設置した音声端末機で町からの情報を伝える有線告知放送の内容を、文字情報でLINEからも提供する取り組みを開始。有線未加入世帯が約4割いる中で伝達手段を増やした。同時に、自治区が区民に発信できるよう独自の情報配信ツールを開発。区長・集落組合長への説明を経て5月から運用を始めた。
町総務課によると、区費徴収や資源物回収などの知らせでLINEを併用する区がじわりと増加。新型コロナの感染再拡大を受け、盆踊りの中止を知らせた区もある。各区には専用アプリと地区ごとのアカウントを配布。利用者は登録時に居住する区・集落組合を選択している。
Digi田甲子園は、政権が掲げるデジタル田園都市国家構想に基づき、地方自治体の取り組みを対象に今夏初めて開催。富士見町は町村部門で県代表に選出。他部門では県内市町村と県による「協働電子図書館」と、塩尻市の取り組みが本選出場を決めた。
LINEを活用した地方自治体からの情報発信は普及しているが、「自治区自らが情報発信者となれる仕組みは全国初ではないか」と同課文書情報係。「町は有線での区内放送文化が根づいており、導入しやすかった面がある。より活用されるとともに、『富士見モデル』として他の市町村にも広がっていけばうれしい」としている。
内閣官房の専用サイトで国民から投票を受け付け、識者の審査を経て内閣総理大臣賞を決める。各都道府県代表の取り組みについての紹介動画も見ることができる。
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