観光庁による訪日観光再開に向けた実証ツアーで県内を訪れたタイの旅行者ら=下諏訪町の諏訪大社下社秋宮
国が新型コロナウイルスの水際対策を緩和して訪日外国人観光客の受け入れを6月10日から再開する方針を示したことを受け、観光庁は訪日観光実証事業を5月24日から始め、長野県内にもモニターツアーの観光客が訪れている。28日はタイの観光客4人が下諏訪町の諏訪大社下社秋宮などを訪れ、久しぶりの日本の観光を満喫した。旅行代理店の担当者は「実証実験の経験を踏まえ、安心安全な訪日旅行を提供したい」と観光客受け入れ再開に期待した。
実証事業では今後の訪日観光再開に向けて、日本の旅行会社が行う少人数のパッケージツアー形式で行い、感染防止対策の順守方法や緊急時対応などについて検証を行う。今後、旅行会社や宿泊事業者などが留意すべき点をまとめた「ガイドライン」を策定し、関係者に周知を図る。
実証ツアーには米国や豪州、タイ、シンガポールなどから約50人が参加。12県を15行程に分かれて5月末まで巡っている。日本の旅行会社6社がツアーを組んだ。
このうち、タイからのツアー客4人は28日から観光をスタート。全員、現地の旅行会社スタッフで、ほぼ2年半ぶりの海外という。日本への旅行の添乗員を務めているタイ人男性(40)は諏訪大社を初めて訪問し、境内に建つ御柱を目にして「大きくて驚いた。他の神社では見たことがない。祭りにも参加してみたい」と話した。タイには親日家が多いといい「日本の文化や気候、食事、ショッピングを楽しみにしている」と旅行再開に期待した。
ツアーガイドの女性はインバウンド観光の再開を歓迎しつつ、「外国人と日本人とでは感染症対策への意識の違いもある。日本のルールを促したい」と課題も挙げた。
ツアーを企画した近畿日本ツーリストの広報担当者は「この実証ツアーを通して外国の方に日本の感染症対策をどう伝えていくか、各国の方の反応などを見られたら。実証実験の経験を踏まえ、安心安全な訪日旅行を提供していきたい」と話した。
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