緑の木立を抜け、徐々に立ち上がる秋宮二の御柱。乗り手の男たちが金色のおんべを振り、フィナーレを飾った
諏訪大社御柱祭の下社里曳きは最終日の16日、最も太い秋宮一之御柱など残る5本の建て御柱を、長野県下諏訪町内で行った。新緑がまぶしい春宮、秋宮の社殿の四隅に新しい御柱がそろい、4月の上社山出しに始まった2022年の御柱祭は終幕を迎えた。
建て御柱は先端の形を整える「冠落し」をした後、ワイヤなどを巻き取る「車地」を使って建ち上げた。「よいとーまーけ」の掛け声や木やりが響く中、乗り手を乗せた御柱がゆっくりと建ち上がった。それぞれの柱で思いを込めた垂れ幕が垂らされ、氏子たちは無事の曳き建てを祝い合った。終了後は宝投げなどのセレモニーもあった。
春宮で唯一残っていた春宮三の建て御柱は午前中から始まり、午前11時30分ごろに無事に建ち上がった。秋宮一、二、三の柱は冠落しの儀を行い、順次建て御柱に入った。地元下諏訪全町の氏子が曳く秋宮四は前日に到着した魁町から曳行を再開し、中心市街地を進んだ。秋宮境内の所定位置に午後2時過ぎに曳き着け、木やり師たちが代わる代わる「山の神返し」の木やりを響かせた。
秋宮四が建て御柱の最後を飾り、木やりや「よいさ」の掛け声で御柱が角度を上げた。天に向かって真っすぐに建ち上がり、垂れ幕を下ろして万歳を繰り返した。
コロナ下の試行錯誤の中で行われてきた今回の御柱祭。山出しでは史上初となるトレーラー運搬を採り入れるとともに、参加者を登録制にするなど感染症対策を徹底してきた。それだけに、里曳きで人力曳行をする氏子たちの表情には喜びがあふれていた。
次回の御柱祭は2028年となる。
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