全国初となるカラマツ展示林の造成を目指して苗木を植える関係者=伊那市民の森
林野庁中部森林管理局、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所林木育種センター、長野県、長野県伊那市の4者は12日、3種類のカラマツの苗木を同市横山とますみケ丘一帯にある市民の森へ植樹した。性質の異なる苗木を並べて植えることで、成長の差を見比べられる全国初の「カラマツ展示林」を造成する目的。参加者約40人が市民の森1200平方メートルに苗木計90本を植えた。
植樹したカラマツは、国が研究する既存の種類よりも優れた特性を持つ「エリートツリー」、エリートツリーを生むための母樹となる「精英樹」、種から育てた実生の苗木の3種類。
エリートツリーは、全国各地の山に育つ「飛び抜けて成長の早い木」などを精英樹として選抜。交配を繰り返し、遺伝的に優れた特性の個体を選んで特定する。さらにエリートツリー同士を交配させ、「成長量が1.5倍以上」などの基準を満たした場合は「特定母樹」に指定している。
エリートツリーは、従来種よりも成長が早い他、木の曲がりが少なく木材としての強度がある。成長時の二酸化炭素の吸収量は「従来種の約2倍多い」(林野庁)という。
4者は先月末、林業振興を目的とする覚書を締結。林木育種センターが技術指導、市が展示林の整備を行うなどの内容を確認した。同市に工場がある精密機械メーカー伸和コントロールズが事業資金を援助する。この日出席した中部森林管理局の上練三局長は「エリートツリーの成長の早さは生産コストの低減にもつながる。展示林をエリートツリーの植林普及のきっかけにしたい」と述べた。
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