信仰を支えた「御師」に関する資料も初公開した諏訪市博物館の特別展
長野県諏訪市博物館の特別展「諏訪信仰と御柱」が5日に始まった。自然への祈り、狩猟の神や現人神への信仰、式年造営御柱大祭など六つのテーマで関連の書き付けや書簡、絵巻、道具類などを展示。諏訪の人びとの「信仰の多様性と深さ、時代や地域の広がりを実感してもらえたら」(児玉利一学芸員)としている。神社と檀家(だんか)のつなぎ役を務めた『御師(おし)』の資料も初公開し、信仰を支える人にも光を当てた。
諏訪の御柱年にちなみ、諏訪信仰をテーマにするのは12年ぶり。初公開の資料は、江戸時代に諏訪大社祢宜(ねぎ)大夫と権祝の御師だった同市中金子の平林家から一昨年、寄贈を受けた記録9点。
御師についてはもともと関連資料が少なく、研究も途上で詳細は不明なことが多いものの、神官家に就き、県内外の所管する地域を巡って諏訪社のお札、お守りなど神物を配り、初穂料を集めたり、参拝に訪れた檀家を案内したりしたとされる。資料には檀家を訪ねる際の手順や持参した土産品がこまごまとつづられ、御師の礼を尽くした働きぶりが見て取れる。
それら資料の向かいには、「全国に類がなく非常に珍しい」という『八角級(はっかくしな)笠』を展示した。諏訪明神のよりしろ・現人神(あらひとがみ)とあがめられた「大祝(おおほうり)」が御柱大祭と御射山祭に限り身につけたとされ、八角形の編みがさを二段に重ねて頭頂を装飾した形が特徴的。同時公開の絵巻でその着装姿も見られる仕掛けだ。
このほか、戦国時代の武将、武田信玄から大祝へのお礼状、信玄の息子勝頼が命じた諏訪大社建て替えの際の決算書、江戸時代に諏訪湖の御渡(みわたり)の結果を大祝から幕府に報告した注進状の写しなどもある。
展示は8月21日まで。開館時間は午前9時~午後5時。月曜休館。入館料は小中学生150円、高校生以上310円。問い合わせは同館(電話0266・52・7080)へ。
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