最後の時間を一緒に過ごす児童と大きく育ったブタ=伊那小
長野県伊那市の伊那小学校の4年生が14日、育ててきたブタ1頭とのお別れ会を開き、出荷した。かわいがるだけでなく、命の大切さと動物の生命をいただいて生きる尊さを学ぶための「命の授業」。児童は真っ赤にした涙目をこすりながら協力してトラックの荷台に乗せ、「ありがとう」と送り出した。
4年文組の児童39人は、総合学習の一環として昨年9月に生後3カ月の雌の子ブタを飼い始めた。体温を感じながら寄り添い、餌やりや小屋の掃除を分担。愛情を注いで大きく育て上げ、約40キロだった体重は140キロに達した。
飼育前に「食べるかどうかは一人ひとりが選択する」と決めた子どもたち。出荷を控え、9割の児童が食べると決断した。同校によると、出荷先から精肉70キロを買い取り、児童と教員が調理して学校でいただく計画。残りは各家庭に持ち帰るという。
別れの日を迎え、児童たちは口々に「ブーちゃん」と呼び掛け、好物のナッツをプレゼントした。丸い鼻をなでたり、白い体毛にブラシを掛けたり。荷台に積むとブタは鳴き、別れを惜しむように何度も顔をのぞかせた。
児童らは「思い出があり過ぎて悲しい。でも無駄にせずに食べ、その分元気に生きることで喜んでくれると思う」「深く考えることなく食べ物をいただいてきた。これからは命に感謝し、残さずに食べたい」と言葉に力を込めた。
担任の川上達磨教諭(40)は「命の重みを感じ、人生や食卓で食べ物の命をいただくことを意識してほしい」と願っていた。
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