野球用品ブランド「BEBRAND」のショールームと代表の林さん
デザイン会社ビーライズ・エンターテインメント(長野県茅野市玉川)が、完全受注生産の野球用品ブランド「BEBRAND(ビーイーブランド)」のショールームを茅野市玉川神之原の本社2階に開設した。国内の職人が手作りする唯一無二の野球用品が、独立リーグの選手や高校球児の間で話題を呼び、注文が徐々に増えている。代表の林浩司さん(49)は「長野にこだわり、長野の野球界を盛り上げていきたい」と話している。
林さんは諏訪実業高校の野球部で投手として活躍し、セイコーエプソン野球部に2年間在籍した。幼少期から得意だった絵を描く仕事に興味を持ち、同社を退社。専門学校でコンピューターグラフィックを学んだ。北海道のゲームソフト開発会社ハドソンに入り、デザイナーとして「ボンバーマン」「桃太郎電鉄」「天外魔境」の開発に携わったほか、移籍したコナミや任天堂グループ会社でも人気ゲームのデザインを手掛けた。
ブランド誕生のきっかけは20年前、北海道時代に所属した野球チーム「ビーライズ」で、自らデザインしたロゴマークで特注のスパイクを作ったのが始まり。「もともと野球道具が好きだった」という林さん。高品質の道具を作る職人の技術に感動し、応援しようと野球仲間に広めた。
2017年に独立し、ホームページや広告の制作、商品のブランド化を支援する「ビーライズ―」を創業。国内の職人と培った信頼関係を生かし、野球用品の開発、販売にも乗り出した。都内で事業を始めたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて昨年帰郷。家具職人の父親と実家を自ら改装し、今年2月にショールームをオープンした。
ショールームには鮮やかな色彩のグラブやスパイク、木製バットなどが並ぶ。海外での大量生産とは異なり、色や機能性、網部分の特殊な文様などを細かくオーダーでき、野球を知り尽くした国内の職人が手作業で仕上げる。林さんも本社で刺しゅうを手掛けており、「触ってもらえば違いが分かる」と胸を張る。
グラブはプロと学生、軟式・ソフトボール向けの3モデルを用意し、3~5万円台。硬式モデルにはきめが細かく手になじむキップレザー(生後6カ月~2年の牛革)を使い、2枚重ねで高い耐久性を実現した。学生用硬式モデルの「テンペスト」は「3年間使ってもらえます」と語る。
県内外の独立リーグの選手や高校生、台湾の商社から注文が寄せられているという。林さんは「高校時代に経営を学んだことが僕の人生を変えた。今はすごく楽しい。1階の工場に職員を雇い、地域に貢献できたら」と話している。
ショールームの見学は予約制。問い合わせはメールで同社(hayashi@bebrand.jp)へ。
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