検討委員会の会合で武居町長へ道路網計画の原案を答申する浅野委員長(左)
長野県辰野町は、今後10年間に優先して進めるべき道路事業を示す「辰野町道路網計画」を策定した。住民意見を踏まえて幹線道路の渋滞緩和や安全対策に重点を絞り、解決手段となる国道153号両小野、辰野のバイパス整備、国道と県道を結ぶ東西路線の改良の3項目を列記。順次事業化していく必要性を掲げた。町が長期的な道路網計画を設けるのは初めてで、国や県などへの要望活動や用地交渉などの際に最大限活用する。
町は2019年度から、実現可能な道路網の将来像を示そうと計画策定に着手。全17区でワークショップを開いたほか、住民の意識調査やパブリックコメント募集も行うなどして計画案を作った。昨年立ち上げた専門の検討委員会で会合を計6回開き、武居保男町長から諮問を受けた計画案の妥当性を協議してきた。
計画では、通勤時間や災害時に生じる交通渋滞を最大の課題と位置づける。渋滞を緩和したり、市街地への過度な車両の流入を防いだりする方法として、国道153号と並行する両小野、辰野のバイパス2路線の整備を挙げた。
さらに、国道と天竜川沿いの県道伊那辰野停車場線を結ぶ、県道与地辰野線を東西方向の重点路線に設定。地元住民の道路委員会が促進運動を進めるJR飯田線下田踏切の拡幅と合わせ、路線改良を進める必要性をうたった。
町道路網計画検討委員会(委員長・ 浅野純一郎豊橋技術科学大学教授)が29日、町役場で開いた会合で、武居町長へ計画案を原案通り答申。 これを受け町が計画を即日策定した。浅野委員長は「道路整備に求められる住民合意やスムーズな交渉、要望活動に生かす根幹部分について、具体的な考え方を示したことに成果がある」と評価した。
武居町長は「道路対策は町の第6次総合計画の重点テーマ。8月の大雨で生じた町内の渋滞で、幹線道路を複線化する重要性を改めて感じた。計画に基づいて関係機関要望などを進め、町の道路構築に取り組みたい」と述べた。
町は今後、都市計画審議会や町議会、区長会へ計画策定を報告。来年春までに冊子化して公表する予定だ。
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