瀬角英樹医師(長野県松本市) 脳挫傷で寝たきり状態が続く70代男性を診察
特集は「自宅で迎える最期」です。訪問診療で終末期の患者に寄り添い「看取り」を支える医師がいます。出会いと別れを繰り返す中で、医師が願う「最期」とは…。
訪問診療
今年9月、安曇野市―
瀬角英樹医師:
「こんにちは。訪問診療クリニック樹(いつき)です」
男性の妻:
「どうぞ」
瀬角英樹医師
瀬角英樹医師(60)。クリニックを運営しつつ在宅療養の患者を診る「訪問診療」をしています。
この日は脳挫傷で寝たきりの状態が続く、安曇野市の70代男性を診察しました。
瀬角英樹医師:
「便通がうまくいかない?」
男性の妻:
「お薬ね」
瀬角英樹医師:
「そんなに今は、張っていないけど」
男性は以前、近くの病院に通っていました。しかし、体力が衰え付き添う妻も腰を悪くして通院が難しくなり、訪問診療・訪問看護に切り替えました。
通院が難しくなり、訪問診療に切り替えた
男性の妻:
「(通院では)車いすタクシーを手配しなくちゃいけないし、ベッドから起こして車いすに移さなきゃいけない、着替えもしなくちゃいけない。主人も動かさないで、ここで診てもらえることはとてもありがたい」
諸井吉彦さん
訪ねていく中には終末期の患者もいます。
瀬角英樹医師:
「痛いのつらいから、あまり我慢しないで相談してください」
諸井吉彦さん:
「でも、どんどん薬が増えると自分がどのレベルにいるのか分からなくなる」
末期がんを患う安曇野市の諸井吉彦さんもその一人です。
諸井吉彦さん
諸井吉彦さん:
「『今年もたないだろう』と言われたら『今年もたせましょうよ、頑張って』と。ささやかな希望を持ちながら、その希望をつないでくれるのが訪問診療」
瀬角英樹医師
瀬角医師が行っているのは、いわゆる緩和ケアです。
瀬角英樹医師:
「苦痛の緩和、生きることに対する援助ですよね。死ぬんじゃなくて、『最後の日』までその人らしく生きるということを強調しながら、それを支えていくような対応を心掛けています」
病院勤務時代の瀬角医師
瀬角医師は神奈川県出身。信州大学を卒業後、消化器内科を専門に県内外の病院で働いてきました。多くの終末期の患者と接してきた中で、次第にある思いが強まっていったと言います。
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