諏訪湖畔で始まった諏訪湖エール花火=6日5時37分
長野県諏訪市の諏訪湖で10月の12日間、各日約500発の花火を打ち上げた「諏訪湖オータム花火」。これまで午後7時や午後8時30分だった花火の打ち上げ開始を午後6時に前倒しして、飲食店や観光施設への波及効果を目指した。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、市や県が行う宿泊料金の割引もあり、秋の花火に「一定の効果があった」と評価する声がある半面、人の流れを繁華街に誘導する仕掛けが欲しかったといった指摘もあった。
オータム花火は諏訪観光協会と諏訪湖温泉旅館組合、諏訪市が主催。全国新作花火競技大会(今年は中止)の参加煙火店24社から花火の提供を受け、小口煙火(諏訪市)が初島と台船から打ち上げた。基本的に金曜と土曜の午後6時から打ち上げることで、その後の市街地回遊につなげ、飲食店や土産店、ホテル、旅館の利用を促した。
諏訪市湖岸通りの商業施設「くらすわ」は、屋上テラスを花火客に無料開放した。利用者のピークは10月9日の60人で「花火が外出のきっかけになり、地元の皆さんにも立ち寄ってもらえた」。川魚つくだ煮の老舗「えびす屋」は閉店が午後6時のため影響はなかったが、10月中旬以降の土日の人出が増えたと話す。
JR上諏訪駅西口にある「秋月そば本店」では、花火を見終わった後に食事を楽しむ見物客の姿があった。「地元の方もいて、諏訪湖の花火を皆さん喜んでいました」と振り返った。
一方、花火の打ち上げと食事の始まる時間が重なったホテルや旅館では、対応に苦慮したとの声が聞かれた。RAKO華乃井ホテルでは、10月後半から花火目当ての宿泊客が増え、修学旅行では花火に合わせてスケジュールを組む学校もあった。11月の週末も花火が上がるため「8割が予約で埋まっている」という。
諏訪湖温泉旅館組合のまとめだと、加盟14施設の10月の宿泊者数は昨年比94%、一昨年比95%。首都圏の緊急事態宣言が解除され、県の感染警戒レベルも低下し、10月に入って急増した。県内外からの修学旅行が増加要因となり、宿泊料金の割引が利用できる市民や県民のほか、東京からの旅行者も目立ったという。
諏訪観光協会は「オータム花火は10分間の花火だったが、諏訪湖の花火で培ったノウハウと全国の花火師とのネットワークがあったからこそできた」と語り、地域住民や関係者の協力に感謝した。
一方、JR上諏訪駅周辺の商業会役員は「午後6時から花火を打ち上げるアイデアは素晴らしかったが、せっかく人を集めたのに、渋滞だけ起こして帰られてしまった印象がある。繁華街につなぐ仕掛けも欲しかった」と話した。
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