逮捕された犬販売業者の元社長(11月1日) 家宅捜索時の犬(9月 長野県松本市) ※画像を加工
劣悪な環境で多数の犬を飼育していたとして、長野県松本市の販売業者の元社長と従業員の男が動物愛護法違反の疑いで逮捕されました。元社長は逮捕の3日前、「犬にはかわいそうなことをした」「規模を小さくするべきだった」などと胸中を語りました。
■犬360匹余り虐待 元社長ら2人逮捕 動物愛護法違反の疑い
家宅捜索(9月 長野県松本市)
逮捕されたのは、松本市の犬販売業者の元社長・百瀬耕二容疑者(60)と従業員の有賀健児容疑者(48)の2人です。百瀬容疑者らは今年9月、松本市中山の施設で犬を劣悪な環境で飼育して衰弱させたほか、病気にかかった犬を適切に保護せず、360匹余りを虐待した動物愛護法違反の疑いがもたれています。
警察によりますと、この施設では約450匹を飼育していましたが、1つのケージに複数の犬を飼い、排泄物も処理しない状態で全ての犬が何らかの病気やけがをした状態だったということです。中には失明したり呼吸困難となっていた犬もいたということです。
百瀬容疑者らはこの施設も含め約940匹を飼育していて、21匹は保健所が保護、そのほかの多くは埼玉の保護団体に移されました。
一方、松本市保健所は業者に対し、飼育状況を改善するよう勧告しています。
■逮捕3日前に元社長が胸中語る
取材を受ける元社長(11月1日)
「飼育崩壊」とも言える状態に陥っていた業者。元社長は逮捕の3日前、取材に応じました。
元社長・百瀬耕二容疑者(11月1日取材):
「このたびはペット業界の皆様、ご近所の皆様、そのほか多くの方々にご迷惑をおかけしまして本当に申し訳ございませんでした」
報道陣を前に陳謝した元社長の百瀬容疑者。
■元社長「規模を小さくすればと後悔」
家宅捜索(9月 長野県松本市)
今年9月の家宅捜索。
抱きかかえられて出てきた犬の多くは体が汚れ、おびえた様子でした。
当時の従業員は…
当時の従業員:
「いいブリーダーさんだったら、広い庭があって放して育てたりすると思うけど、うちは一生ケージの中で暮らしてくからそういう姿を見てると、一言で言ったらかわいそう。犬のことがわかってるのは社長しかいないから知識のない私たちがなんか言っても、言える立場じゃないから」
なぜ、こうした事態を招いたのでしょうか。
元社長・百瀬耕二容疑者(11月1日取材):
「ご飯をしっかりあげるっていうことが精いっぱいで手入れしてあげれなかったので本当にかわいそうなことしちゃったな」
百瀬容疑者は、2019年頃から犬が増えたことに加え、人手不足から掃除や世話が不十分になっていたと認めました。
飼育基準が厳しくなった6月の法改正を前に「従業員を確保するため規模を大きくしたかった」と話しました。
元社長・百瀬耕二容疑者(11月1日取材):
「里の犬舎もエサと水あげるのが精いっぱいな形で、山の犬舎は一つは掃除の手が回っていなかったってということと二つ目はトリミング関係がまずかった。経営でお金を回していかなきゃいけない、新しい犬舎を建てなきゃいけないことで突き進んでいた。なんで逆に頭数を減らす方に自分の考えをもっていかなかったのか、今考えれば(規模を)小さくすればと後悔している」
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