銃撃事件で2人の子どもの命が犠牲に
4人の命が犠牲になった長野県中野市で起きた猟銃発砲立てこもり事件。繰り返される悲劇に胸を痛めている人がいる。3年前、銃撃事件で2人の子どもの命を失った遺族。支援条例を制定し、被害者やその家族を支えてほしいと訴えている。
■銃撃で子ども2人の命を奪われる
銃撃事件で2人の子どもの命を失った市川武範さん(58)
4人の命が奪われた今回の事件に胸を痛める市川武範さん(58)。
市川武範さん:
「悲しみや悔しさのどん底、疑問点ばかりだと思う。そのまま人生をなくしてしまわないよう、力になってあげたいという人がたくさんいる。腐らず、生きていくことを忘れないで」
市川さん自身も3年前、銃撃事件で子ども2人の命を奪われた。
市川武範さん:
「片付けに来るんですけど、懐かしいもの出てきて見入ってしまう。やる気が出なくなってしまう…」
暴力団幹部の男が乗っていたとみられる車
2020年5月、坂城町の市川さんの自宅に暴力団幹部の男が侵入し、長女の杏菜さん(当時22)と次男の直人さん(当時16)を拳銃で殺害。男はその場で自殺した。
■誹謗中傷やデマに悩まされる
事件現場(当時)
事件の2日前、警察は市川さんの長男を暴行したとして男の逮捕状をとり、長男には避難措置をとっていたが、家族への犯行は防げなかった。
家族を失った市川さん。仕事は手につかなくなり、さらに周囲からの「暴力団とかかわった長男が悪い」などの「誹謗中傷」や「デマ」に悩まされた。
市川武範さん:
「ひどすぎるなとショックを覚えた。被害者や遺族に対する言葉なのかと。悔しさや悲しさにさいなまれていた」
そうした自身の経験を踏まえ行政による支援のほか、周囲には悲しみに暮れる遺族に寄り添ってほしいと話す。
■遺族に寄り添ってほしい
銃撃事件で2人の子どもの命を失った市川武範さん(58)
市川武範さん:
「支えてあげるようなメッセージを送ることはできる。気持ちだけでも寄り添ってくれる人がいる、心の支えになってあげる。すぐさま仕事を元気にできない。早急な経済的支援、各自治体が示してほしい。どうしたら防げるか、起きたときにどのようなことができるか、システムづくりが急務」
2022年、長野県は犯罪被害者支援条例を制定
市川さんなどの働きかけで2022年、県は相談体制の充実や見舞金の支給を柱とする犯罪被害者支援条例を制定。
県内では6市町村が同様の条例を制定している。
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