丸山尚子被告85歳
介護をしていた甥を承諾を得た上で殺害したとされる女の裁判です。地裁松本支部は「長年尽くしてきた愛情に疑うべきところはなく強く責めるのは酷だ」などとし、執行猶予付きの判決を言い渡しました。
(丸山被告の証言)
「『一緒に死のう』と言ったら『うん』と言ってくれた。死ぬつもりだったけど腰が抜けてしまった。悪いことをしたと思っています」
前回の裁判でこう証言した松本市筑摩の丸山尚子被告85歳。
事件現場(長野県松本市)
被告は2023年2月、同居していた甥の和容さん(当時63)を本人の承諾を得た上で首を絞めて殺害した「承諾殺人の罪」に問われていました。
和容さんは国の難病指定の遺伝性疾患があり、被告はおよそ20年間にわたりほぼ毎日、全身にできた腫瘍に薬を塗ったり、風呂に入れたりしてきたとされています。
検察側は自身と被害者が年を重ね将来に悲観していたと指摘していました。
一方、弁護側は「介護を一手に引き受け限界を感じていた」などと執行猶予付きの判決を求めていました。
長野地方裁判所松本支部
9日の判決公判で地裁松本支部の永井健一裁判官は「責任は重い」としつつも、「長年尽くしてきた愛情に疑うべきところはなく、将来への不安感と疲労の蓄積を考慮すると強く責めるのは酷だ」とし、懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。
長野地方裁判所松本支部
(記者リポート)
「執行猶予付きの判決が言い渡されると、被告は涙ぐんで一言『ありがとうございます』と答えました」
松本市役所
被告は介護の悩みなどについて松本市などに相談していなかったということです。
市では「相談窓口を設置しているので、困ったことがあれば、どんなことでも連絡してほしい」とコメントしています。
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