映画「怪物」の完成披露試写会に登場した是枝監督(右)、演出の坂元さん(右から2人目)と出演した俳優陣(右から安藤サクラさん、黒川想矢さん、柊木陽太さん、永山瑛太さん、高畑充希さん、中村獅童さん)
映画「万引き家族」でカンヌ国際映画祭最高賞を受賞した是枝裕和監督が長野県の諏訪地方で撮影した最新作「怪物」の完成披露試写会、舞台あいさつが8日、都内で行われ、是枝監督、脚本の坂元裕二さんと出演俳優が同作への思いを語った。是枝監督は「特別なものが映っている。(制作にかかわった)すべての人がいい仕事をしてくれた。素晴らしい映画ができたと確信している」と語った。
舞台あいさつには、主演の安藤サクラさん、永山瑛太さん、主人公の小学生、麦野湊を演じた黒川想矢さん、星川依里役の柊木陽太さんのほか、俳優の高畑充希さん、中村獅童さんが登場した。
音楽は世界的な音楽家で3月に亡くなった坂本龍一さんが手掛け、同作が坂本さんの最後の映画劇伴となった。是枝監督は「坂本さんと一緒に映画づくりができたことを誇りに思う。この作品に坂本さんの音楽は絶対に必要だった」と語った。ロケ地が諏訪に決まった後「夜の諏訪湖に坂本さんのピアノが響くといいなと思った」と振り返った。
湊の母親役を演じた安藤さんは「とても刺激を受ける撮影現場だった。出来上がった作品を見て、自分の想像をはるかに超えていた」と喜んだ。黒川さんは「難しい役だった。芝居が終わっても湊君から本来の自分に戻れなくて苦しい時もあった」と振り返った。そんな黒川さんを支えたのが永山さんだった。ドライブに誘ったり、諏訪湖畔を一緒に散歩したり、ジンギスカンの店に連れ出したりしたという。「永山さんから『役者は監督の脳みそにあるものを表現するんだよ』って言われて心に響いた」と語った。是枝監督がオーディションで「依里役にピッタリの子だと思った」という柊木さんは「自然体で芝居に臨めた」と話した。
映画「怪物」は息子を愛するシングルマザー、児童思いの小学校教師、さまざまな思いが交錯する小学5年生のそれぞれの視点で描かれ、互いに食い違う主張が誤解を生み、やがて社会を揺るがす事件へと発展していくストーリー。
撮影は昨年3月19日~5月12日と7月23日~8月12日に諏訪市の旧城北小学校、岡谷市の釜口水門、下諏訪町のクリーニング店、富士見町の旧立場川橋梁跡地など4市町の約25カ所で行われ、小学生を中心に、延べ約700人が地元エキストラとして参加した。
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