保存食の干した野菜を使った鬼無里の冬の郷土料理
長野市鬼無里に伝わる「干葉(ひば)のおこうがけ」は、保存食の干した野菜を入れたみそ汁をそばにかけて食べる素朴な料理。先人の知恵が生かされた、この時期食べたい「あったか伝統食」です。
【動画で見る】冬のあったか伝統食「干葉(ひば)のおこうがけ」
■ みそ汁の具は干した野沢菜 雪国の保存食
長野市 鬼無里地区
長野市の鬼無里地区。雪景色が広がるこの時期に食べられる伝統食があります。
そばに、みそ汁をかけた「干葉のおこうがけ」。
「干葉」は干した野沢菜のこと、「おこう(香)」はみそ汁の具のこと
干葉とは干した野沢菜のこと、おこう(香)はみそ汁の具のことです。
そばにみそ汁をかける
住民(70代):
「そばへ温かくしておこうがけして食べた。昔なんて何もないじゃん。大体冬が多い、野沢菜を作ってからの話だから。夜の夕食とか、お祝いじゃない、普通の食事、一家みんなそろっての」
「昔は囲炉裏に鍋をかけて、そこで温めてやったからすごくおいしかった」
冬が来る前に大根や野沢菜などを軒先に干し、保存食に
長く深い雪に閉ざされてきた鬼無里地区。冬が来る前にダイコンや野沢菜などを軒先に干し、保存食とする食文化が根付きました。
冷気にさらして乾燥させることで、野菜の味や栄養はぐっと凝縮されるといいます。冬場、不足しがちな野菜を少しずつ、そしておいしく食べるための知恵です。
■ 干し野菜を使った料理
農家レストラン「素そばな亭」
農家レストラン「素そばな亭」を営む有沢玲子さん(69)。東京生まれですが、38年前、結婚を機に夫の地元である鬼無里へやってきました。(現在は冬季休業中)
そば打ちの技術は、地元の人に教わりました。
有沢玲子さん
有沢玲子さん:
「鬼無里は隣の戸隠と同じ打ち方、丸く打つ」
腕を磨き10年前、店を開きました。
ズッキーニやナス、カボチャなどを「干し野菜」として保存し、店で提供
そばと同様に、地元の「かあさん」たちに教わったのが干し野菜です。有沢さんは夏に収穫したズッキーニやナス、秋に収穫したカボチャなどを保存し、店で提供しています。
干し野菜を作る講座(2008年)
こちらは2008年に取材した干し野菜を作る講座の様子。
講師:
「白くなればいい、炎日の時なら(干すのは)半日で…」
新鮮な野菜が手に入るようになりましたが、食文化として改めて評価されています。
冬に不足しがちな野菜を少しずつ、おいしく食べる「知恵」
有沢玲子さん:
「今まで夏たくさんできていた野菜をもらったり、自分たちも作っているから(余って)捨てる。それを無駄なく使えるっていいよね『無駄のない、いいことだ』と始めた」
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